「紅茶なしでは戦えない」はウソ!? 英軍戦車が“電気湯沸かし器”を装備する本当の理由
「イギリス軍戦車には車内で紅茶をいれるための専用ケトルがある」という有名な噂がありますが、果たして本当なのでしょうか。戦車兵の「ティータイム」を守るための装備に隠された、シビアな歴史と公式な理由を探ります。
紅茶タイムのせいで、イギリス軍が負けた?
しかし、ここで疑問が出てきます。いくら兵士に紅茶が不可欠であっても、なぜ戦車の車内専用の電気ケトルを開発する必要があったのでしょうか?
有名な話として、ノルマンディー上陸作戦での手痛い経験が挙げられます。1944年6月13日未明、イギリス軍第22機甲旅団の先遣部隊はヴィレル・ボカージュという村の郊外で出撃準備を整えつつ、朝食をとっていました。そこに突如、ドイツ軍の「ティーガーI」重戦車が奇襲攻撃を仕掛けてきたことで、戦車、装甲車数十両を失う大損害を受けてしまいます。ちなみに、この「ティーガーI」を指揮していたのが、エース戦車長として有名なミヒャエル・ヴィットマンでした。
この敗北にショックを受けたイギリス軍が「もし朝食の準備で戦車兵が車外に出ていなかったら、即応してヴィットマンの自由にはさせなかった」と考え、車内でお湯を沸かせるボイリング・ヴェッセルが開発された――そのような背景説明がされることもあります。
実のところ、ヴィレル・ボカージュの敗北とボイリング・ヴェッセルの間に、直接の関連性はありません。しかし戦後の調査では、イギリス戦車兵の死傷者の約37%が、車外での作業中および脱出時に生じていたことが判明しています。紅茶タイムに代表される車外での炊事中の損害の多さが、イギリス軍でも問題視された可能性は、現在、多くの軍事専門家が指摘するところです。




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