自衛隊だけで国は守れません――「有事を前提とした社会に」 新たな国家安全保障戦略に向け「公共インフラの活用」など強調 自民党が“提言”
自由民主党の安全保障調査会が、新たな国家安全保障戦略に向けた提言をまとめました。特に、有事を想定して自衛隊などが民間の空港や港湾、道路を円滑に利用できるよう、整備を進めるべきだとしています。
「有事」想定し民間インフラ活用を提言
自由民主党の安全保障調査会は2026年6月9日、新たな国家安全保障戦略などの策定に向けた提言を発表しました。
提言ではまず、中国・北朝鮮・ロシアの軍事動向や、無人機の大量運用といった「新しい戦い方」の出現、「経済の武器化」といった変化を踏まえ、「現実を直視した情勢認識を示すべき」とされています。
そのうえで、「AIを活用した迅速な意思決定の確保」「無人アセットの大量運用と用途の拡大」「スタンド・オフ防衛能力・反撃能力の更なる強化」など、わが国自身の防衛努力の強化が謳われていますが、今回の提言での大きな特徴のひとつが「平時から『有事があり得ることを前提』とした社会・産業構造の強靱化を進める必要がある」としている点です。つまり、民間との連携が強く打ち出されています。
その一つが「公共インフラの活用」です。自衛隊や海上保安庁が有事の際に民間の空港や港湾を円滑に利用できるよう、平時から準備を進める重要性を指摘しています。
具体的には、防衛での利用を前提とした道路を含むインフラ整備を推進すべきだとしています。加えて、国民保護の観点からも、特に南西地域を含む住民の迅速な避難を実現すべく、必要なインフラ整備の必要性を訴えているほか、自衛隊などが利用することになる「特定利用空港・港湾」について、指定されることによる具体的なメリットを明らかにできるよう検討すべき、とも付け加えています。
提言はその理由を、「我が国を守るためには自衛隊が強くなければならないが、我が国全体で連携しなければ、我が国を守り抜くことはできない」からだと説明しています。
「外交力」と「防衛力」を国家安全保障の車の両輪として強化するとともに、これを支える「経済力」や「技術力」、さらに「情報力」と「人材力」を合わせた6つの要素を有機的に連携させ、「国を挙げて」取り組む必要があると強調しています。
特に、ロシアによるウクライナ侵略が4年を超えて長期化している現状を踏まえ、長期にわたる作戦を遂行できる「継戦能力の確保」が各国にとって大きな課題となっています。有事において部隊や物資を速やかに展開するためには、民間の輸送力を活用することが不可欠だとしています。





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