自然渋滞なぜ起きる? 「渋滞予報士」に聞く発生のメカニズム

後続車に伝わる「ブレーキの波」とは

 サグなどにおける渋滞の発生メカニズムについて、NEXCO東日本の「渋滞予報士」である外山敬祐さんは次のように説明します。

 まず、道路の勾配を意識せずに、下り坂でアクセルを緩めた状態のまま上り坂に差し掛かると、クルマは自然に減速してしまいます。交通量が多い状況でこうしたクルマが存在すると、すぐ後ろのクルマは車間距離が詰まるため、思わずブレーキを踏んでしまいます。さらに、ブレーキを踏んだ、そのさらに後ろのクルマもブレーキを踏むことによって、「ブレーキの波」が大きくなりながら、どんどん後続車へと伝わっていくため、最終的には停止してしまうクルマも出てきます。これが、サグや上り坂において、渋滞が発生するメカニズムだそうです。

 では、自分が渋滞の原因とならないために、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

「後続車にブレーキを踏ませないためには、自分のクルマの速度に常に注意し、上り坂でもスピードを維持することが大切です。高速道路上で、『この先上り坂』や『速度低下に注意』という表示があったら、特に注意してください。クルマの性能上、スピードが出せない場合は、なるべく追い越し車線に入らないようにしたり、登坂車線を利用したりすることが効果的です」(外山さん)

 逆に、自分が渋滞に並ぶ場合、前のクルマの速度が少し下がってもブレーキを踏まなくて済むように、車間距離を置くことが大切とも。40mの車間距離を目安についていくとブレーキの回数が減り、渋滞を緩和させる効果があると外山さんはいいます。

 また、渋滞をかわしいち早く進もうとして車線変更を行うと、その車線の後続車にブレーキを踏ませてしまい、これも渋滞悪化の一因になるそうです。

「隣の車線が空いているように見えても、交通量レベルが高い状態では、事故などの影響がある場合を除いて進み方にそれほど差はありません。後続車にブレーキを踏ませる原因になるため、むやみな車線変更は控えましょう」(外山さん)

 ゴールデンウィーク中のクルマの旅は、渋滞情報などを活用して渋滞を避けると同時に、自らが渋滞原因とならないような運転が必要です。

【了】

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