東武鬼怒川線の建造物が国の登録有形文化財に登録決定 昭和初期のホームなど全7件

東武鬼怒川線の橋や駅ホーム、跨線橋の7件が、国の登録有形文化財(建造物)に登録されることが決定しました。

跨線橋、橋も登録有形文化財に

 東武鉄道は2017年7月21日(金)、鬼怒川線の建造物7件について、同日付けで文化審議会から文部科学大臣に答申されたことを受け、国の登録有形文化財(建造物)に登録されることが決まったと発表しました。

 8月からSL「大樹」の復活運転が予定されている鬼怒川線では、同線の前身である下野電気鉄道時代に建設された建造物が残っているといいます。東武鉄道は、これらを登録有形文化財として登録し、広く周知して地域の財産として活用していくことで、SL復活運転の目的のひとつである「鉄道産業文化遺産の保存と活用」を推進することを目的としています。

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砥川橋梁(画像:東武鉄道)。

 今回、登録される建造物は次のとおりです。

(1) 下今市駅旧跨線橋
・建設:1929(昭和4)年
・構造:鉄骨造、スレート葺
・昭和初期に鉄道が開通した際の景観を今に伝える構造物。

(2) 大谷向駅プラットホーム(上り、下り2件として登録)
・建設:1931(昭和6)年(昭和30年代後半改修)
・構造:玉石積盛土式
・地域の石材を活用したと考えられる特徴ある外観。

(3) 大桑駅プラットホーム
・建設:1929(昭和4)年(昭和30年代後半改修)
・構造:玉石積盛土式
・玉石積の外観が、地域の鉄道敷設の歴史を今に伝える景観をなす構造物。

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下今市駅旧跨線橋(画像:東武鉄道)。
大谷向駅プラットホーム(画像:東武鉄道)。
大桑駅プラットホーム(画像:東武鉄道)。

(4) 砥川橋梁(大桑~新高徳)
・建設:1946(昭和21)年
・構造:プレートガーダー1連、プラットトラス1連
・トラス橋は明治30年に当時の日本鉄道磐城線(現・JR常磐線)の阿武隈川橋梁(きょうりょう)として架設されたトラスのうち、1連を転用したもの。明治期にさかのぼるトラス橋の貴重な遺構。

(5) 新高徳駅プラットホームおよび上家
・建設:1929(昭和4)年(昭和30年代後半改修)
・構造:玉石積盛土式(ホーム)、古レール鉄骨造(上家)
・ホームは地域の石材を活用したと考えられる特徴ある外観。上家は軒先に円形装飾も。

(6) 小佐越駅プラットホーム
・建設:1930(昭和5)年(昭和30年代後半改修)
・構造:玉石積盛土式
・地域の石材を活用した特徴ある外観。

 登録有形文化財建造物制度は、50年を経過した歴史的建造物のうち一定の評価を得たものを文化財として登録し、届出制という緩やかな規制を通じて保存を図り、地域の資産としてまちづくりや観光に活用していくことを目的としています。1996(平成8)年に制定され、すでに1万件を超える建造物が登録されています。

【了】

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1件のコメント

  1. 橋脚や駅舎自体の老朽化対策の改修、改装に悪影響ないのかな。特に駅舎の場合。ホームドアは確実に無用としても、バリアフリー化の問題は出てくるでしょう。