【試乗】ホンダ「フリード モデューロX」 開発者が語るその原点は初代「NSX」?(写真19枚)
原点は初代「NSX」を開発したときの驚き
試乗後に「フリード モデューロX」の開発で、走行性能などを担当したホンダアクセスの福田正剛さんに、走りの狙いを聞いてみました。
「モデューロの走りのルーツは初代『NSX』の開発まで遡ります」と福田さんは言います。初代「NSX」の発売は1989(平成元)年ですから、開発したころといえば30年ほども前になります。そのときの「NSX」の開発では、ドイツのニュルブルクリンク・サーキットで、ずいぶんと走り込みを行ったといいます。「開発の合間にホンダの開発陣は、サーキット以外もあちこちの道を走りました。ドイツの一般道や田舎道です」と福田さん。
そうしたドイツの普通の道での人々の走りは、日本とはぜんぜん違います。センターラインのないような細い道で、先の見えないブラインドコーナーでも、ドイツの人たちはがんがんにスピードを上げて走ります。80km/hや100km/h近いときもあるのです。
「そうした状況では、コントロール性の良いクルマでしか走れません。ただただ踏ん張るとか、そういうクルマでは無理ですね。4輪のタイヤのグリップを使って曲がらないといけません。バランスで走っているんですね。そしてバランスがよくなると質感が高くなります」(ホンダアクセス 福田さん)
ドイツの田舎道で受けたショックを元に、走りの本質を追求する。そうした姿勢がホンダのなかに生まれ、それが「モデューロX」の走りの基本だというのです。
ちなみに、「フリード モデューロX」発売のリリースには、「スポーティ」という文言はありません。説明には「上質でしなやかな走り」「意のままに操る走りを追求した運転の楽しさ」「上質で快適な乗り心地」とあります。当たり前と言えば当たり前のことを、高いクオリティで実現する。それが「フリード モデューロX」の走りということでしょう。格好良い悪いという次元ではなく、もっと走りの本質を突き詰める姿勢。それが「フリード モデューロX」の価値なのではないでしょうか。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
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