陸自の「走るお釜」、「野外炊具1号」とは お腹も心も満たせる有事の最重要装備!?

陸自の炊き出しが美味しいワケ

 陸自には、調理を学ぶための専門コースがあります。それが需品学校(松戸駐屯地)で行われているFEG課程(Food Enlistedmen General course)です。

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陸自の調理を学ぶ「FEG課程」。包丁の握り方に始まり、野戦を戦いながらの調理を学ぶ(菊池雅之撮影)。

 教育期間は約3か月。各部隊から男女問わず多くの陸曹が集められます。調理経験ゼロの隊員も多いため、最初は包丁の握り方など初歩的なことから学んでいきます。学校内にある調理実習室で、和洋中問わない調理方法を学びます。栄養学の座学もあります。

 教育の最終段階として、習志野演習場に展開し、3夜4日の野外訓練を行います。途中で敵戦闘機や大砲による攻撃を受けながら(もちろん想定)も、「野外炊具1号」を用いて、4日間ひたすら食事を作り続けるというのが訓練内容です。

 しかし、給養員と呼ばれる調理専門の隊員を養成しているのは海自と空自だけです。陸自のFEG課程では、自分の職種に次ぐ、ふたつ目の特技として調理を学びます。これを部内では付加特技と呼びます。よって陸自には、調理を専門に行う隊員は存在しません。

 なぜならば、陸自は全隊員が調理できるのが理想だと考えているからです。かつては若手の陸士を駐屯地の食堂に臨時勤務として配置し、調理を学ばせていた時代もあったほどです。戦闘に関わっていない手の空いた隊員が調理する方が、わざわざ専門の給養員を配置するよりも効率的です。

 そこで、FEG課程を修了した陸曹は、各部隊へと戻ると、「炊事班長」として若手に調理を教える立場となります。加えて、各部隊では年に一度のペースで、「野外炊具1号」を使っての中隊対抗炊事競技会を開催しています。最終的に競わせることで、個人のスキルを磨き、調理技術の底上げを目指しているのです。

 戦闘中だからといって、毎日缶詰ばかりでは、部隊の士気は下がってしまいます。それは、災害派遣においても同様です。いつ終わるとも知れない避難所での暮らし。命からがら逃げてきた被災者の心は落ち込みがちです。そんな時だからこそ、温かい食事を食べてもらい、お腹も心も満たすことが大事です。

「野外炊具1号」は、食事だけでなく、優しさも提供できる装備と言えるでしょう。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. 自衛隊は自己完結型の組織と言っても後方支援体制が貧弱なのは明らかです。東日本大震災では招集された予備自衛官の給与支払いが大幅に遅延したとか。

    諸問題の解決に向けた地味な努力が必要だと思います。