国産哨戒機P-1、輸出はあるか? 仏独エアショーでお披露目、背後に渦巻く各国の思惑

海上自衛隊のP-1哨戒機は国産機ですが、仏独のエアショーに展示したのは、もちろん輸出の目を探るためです。とはいえ、そこには世界各国の思惑が渦巻いており、一筋縄ではいきません。現状を解説します。

国産哨戒機P-1、欧州の空へ

 2018年4月25日から29日までドイツのベルリンで開催された「ILA2018 ベルリンエアショー」(以下ベルリンエアショー)に、海上自衛隊のP-1哨戒機 2機が参加しました。哨戒機とは、おもに潜水艦を発見、攻撃するのに用いられる軍用機のことで、固定翼機はもちろん、回転翼機(ヘリコプター)の哨戒機もあります。

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海上自衛隊のP-1哨戒機(画像:海上自衛隊)。

 防衛省はP-1の「ベルリンエアショー」への参加目的を「諸外国との防衛装備・技術協力の進展を図る」ためと説明していますが、実のところ今回の「ベルリンエアショー」への参加には、ヨーロッパ諸国に対するP-1の輸出を促進するという目的があると見られています。

 ヨーロッパ諸国では運用している哨戒機の老朽化に加え、ロシアの脅威が顕在化してきたこともあって、新型の哨戒機の導入を検討している国が少なくありません。イギリスとノルウェーはボーイングのP-8A哨戒機の導入を決定していますが、老朽化が進むダッソー「アトランティック」哨戒機を運用するフランスや、P-3C哨戒機を運用するドイツといった国々は、現時点でどのような新型哨戒機を導入するかを決めかねています。そこで防衛装備品の輸出を進めている日本政府はP-1をヨーロッパ諸国の次期哨戒機に提案していく方針を定め、P-1をアピールするために、「ベルリンエアショー」へ派遣したというわけです。

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2017年の「パリ航空ショー」に参加したP-1哨戒機。機首部の窓には海上自衛隊旗とフランス国旗のパネルが貼られていた(竹内 修撮影)。

 P-1は2017年6月にフランスで開催された「パリ航空ショー」にも、同じ目的で参加しています。

「パリ航空ショー」ではフランスのマクロン大統領をはじめとするVIPが多数視察に訪れたほか、防衛装備品の輸出入を担当する防衛装備庁が開催した、外国の防衛関係者とメディア向けの説明会にも、多くの取材陣が集まりました。筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)はこの説明会に参加する機会を得ましたが、参加した方々は、P-1が世界で初めて導入した、電線の代わりに光ファイバーを使って信号を送り機体を制御する「フライ・バイ・ライト」をはじめとするP-1の技術に対して、高い関心を示していました。

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