「そういえば昔、あったよね」 いまや珍しいバスのサービス【高速バス編】(写真10枚)

あの「エンタメ設備」はどこへ

 車内の時間を楽しむ設備も、時代とともに変わっていきました。

著作権料も影響? 「ビデオ放映と音楽サービス」

 こちらも、「バブル期」に開設された多くの高速バスで採用されていたサービスのひとつでないでしょうか。各座席にはチャンネルの選択と音量が調整できるマルチステレオコントローラが設置されており、乗客はこのコントローラでチャンネルと音量を設定し、ビデオ(DVD)放映や音楽を楽しみます。マルチステレオコントローラでは、ビデオ音声、ラジオ音声、音楽チャンネルのいずれかを選ぶことができ、音楽はポップス、洋楽、クラッシックなど、4~6チャンネルのなかからひとつ選ぶことができます。

 乗客への娯楽サービスのひとつとして提供されていましたが、携帯式音楽プレーヤーやスマートフォンの普及で利用者が減少していきます。さらに、著作権料の支払いなどでコストがかかることから、車両更新時にサービスを廃止するバス会社が急増しました。

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道北バス「流氷もんべつ号」では車内でテレビを放送している(須田浩司撮影)。

 唯一例外なのが北海道です。北海道は長距離を昼間に走る都市間路線が多く、利用客の要望も多いことから、現在でも多くの路線でビデオ放映とテレビ・ラジオ放送サービスを実施しています。ただし、音楽サービスはほとんどの路線で廃止されてしまいました。

携帯電話の普及とサービス終了で消滅「車内公衆電話」

 昔から高速バスを利用している方は、もしかするとこのサービスを一番よく利用していたのではないでしょうか。今日の高速バスは「車内での通話はお控えください」というアナウンスが当たり前になっていますが、昔は車内に公衆電話が設置されていて、家族や知人などに連絡を取っている光景がよく見られたものです。

 バス車内の公衆電話は、NTTが自動車電話サービスを公衆向けに提供していたもので、100円硬貨式とテレホンカード専用式の2タイプがありました。硬貨(またはテレホンカード)を挿入する機器と乗客用の受話器は、車内中央部のトイレ付近または車内最後部に設置。ほかに運転席にも受話器があって、多くは業務兼用としていました。通話料は、街中の公衆電話より高めに設定されていたこともあり、テレホンカードの度数の減り具合も早かったことを記憶しています。

 バス遅延時の家族などへの連絡やタクシーの手配などにも重宝されていましたが、携帯電話の普及により利用者は減少。さらに、NTTドコモが2012(平成24)年に自動車電話のサービス提供を終了したこともあり、現在は見かけなくなりました。

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コメント

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5件のコメント

  1. ドリーム号の下りで新名神で解放休憩が追加された時は嬉かったな
    エアロキングはかた号のビデオ放映や軽食支給などのサービス
    乗り継いだ同社の鹿児島行きも同じ映画を放映してたっけ

  2. 初めてドリーム号乗った時は車内で当時流行っていた曲が聞けて感激した記憶があります。
    いまは便利になりすぎてそういう感激もなくなってきたような。

  3. はかた号のサロン室は覚えている。
    確かに煙草吸っている人いたなあ。
    愛煙家の皆さんにとっては辛い世の中になってしまったものだ。

    北海道のラジオ、テレビ番組放映サービスはなるほどと思った。
    遠距離路線などは一度乗車すると、6~8時間は降りれないから(休憩地除く)。スマホなんかもかえって飽きるんだよね。

  4. 日本人のバス観が別物になると言って良い程の大変革だな

  5. 「拘束バス」と言えば名鉄バスの青葉号の4列シート車運行便(繁忙期限定)もそうらしいですね…
    (名鉄観光バスの車輌と乗務員で運行。)

    ごく普通のトイレ無し4列シート車なのに拘束バスなんだとか…