「そういえば昔、あったよね」 いまや珍しいバスのサービス【高速バス編】(写真10枚)

【番外編】到着まで降りることができない「拘束バス」

 こちらは、むしろ「無くなってうれしいサービス」かもしれません。「拘束バス」と書きましたが、決して誤字ではなく、読んで字のごとく「乗車後、目的地到着まで下車できない高速バス」のことを指します。途中のサービスエリアなどで何度か停車はしますが、乗務員交代や車両点検のための停車であり、乗客はいっさい下車することができません。

 じつは、バブル期に新設された夜行高速バスの多くは、この「拘束バス」でした。東京~大阪間など、所要時間が6~8時間程度の夜行路線が主でしたが、なかには所要6~7時間の昼行路線や、12時間を超える路線でも「拘束バス」が存在していました。

 理由は、車内にトイレが装備されていることや、消灯後できるだけ起こしたくないという乗客への配慮、サービスエリアでの事故防止や乗り違いの防止、乗務員の負担軽減など、さまざまです。現在でも所要時間が短い夜行高速路線を中心に開放休憩(乗客が車外に出られる休憩)を行わない高速バスは存在しますが、トイレ無しの高速バスが増えたこと、さらには乗客からの要望でこれまで開放休憩を行っていないかった路線がこれを行うようになってきたことなどから、数として「拘束バス」は減少傾向にあります。

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奈良交通「やまと号」福岡線。約10時間の乗車で開放休憩がなかった。2000年廃止(須田浩司撮影)。

 以上、「そういえば昔、あったよね」という高速バスのサービスのなかから、おもなものを紹介しましたが、装備品やサービスを細かく見ていくと、「そういえば昔、あったよね」というものがまだまだ出てくるかもしれませんね。

【了】

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Writer: 須田浩司

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

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5件のコメント

  1. ドリーム号の下りで新名神で解放休憩が追加された時は嬉かったな
    エアロキングはかた号のビデオ放映や軽食支給などのサービス
    乗り継いだ同社の鹿児島行きも同じ映画を放映してたっけ

  2. 初めてドリーム号乗った時は車内で当時流行っていた曲が聞けて感激した記憶があります。
    いまは便利になりすぎてそういう感激もなくなってきたような。

  3. はかた号のサロン室は覚えている。
    確かに煙草吸っている人いたなあ。
    愛煙家の皆さんにとっては辛い世の中になってしまったものだ。

    北海道のラジオ、テレビ番組放映サービスはなるほどと思った。
    遠距離路線などは一度乗車すると、6~8時間は降りれないから(休憩地除く)。スマホなんかもかえって飽きるんだよね。

  4. 日本人のバス観が別物になると言って良い程の大変革だな

  5. 「拘束バス」と言えば名鉄バスの青葉号の4列シート車運行便(繁忙期限定)もそうらしいですね…
    (名鉄観光バスの車輌と乗務員で運行。)

    ごく普通のトイレ無し4列シート車なのに拘束バスなんだとか…