「そういえば昔、あったよね」 いまや珍しいバスのサービス【高速バス編】(写真10枚)

車内でタバコが吸えた!

「サロン席」は、現在でも多くの観光バスで採用されていますが、かつては高速バスでも見られました。

高速バスのサロン席は「気分転換の場」「喫煙スペース」

 観光バスのサロン席は、テーブルを囲むような形で座席が配置されており、ここで仲間同士が語らいながら一杯…というのは、いまでもよく見られる光景です。一方、高速バスのサロン席は、どちらかといえば「乗客自身の気分転換の場」「喫煙スペース」として活用されていました。

 本格的なサロン席を採用した高速バスとして最初に注目されたのは、日本急行バス(当時)が「名神ハイウェイバス」に投入した「サロン特急」でした。後部8席がコの字状のソファー風なサロン席となっており、乗客のためのフリースペースとして開放されていました。無料の給茶設備も設置され、緑茶・紅茶・珈琲が提供されていたほか、京都銘菓の「八ツ橋」(ただし生八ツ橋ではない)が食べ放題で用意され、乗客からは好評を得ていました。

 1988(昭和63)年、富士重工業(現・スバル)が企画し、ボルボ社からセンターアンダーフロアエンジンシャシーを輸入し車体を架装したバス「アステローペ」では、車体後部が2階建て構造になっており、この1階部分を「サロンルーム」として活用できるのが特長でした。山形の庄内交通や秋田の羽後交通、ジェイアールバス関東などは、この点に注目して「アステローペ」を夜行高速バスに投入し、1階部分をサロン席として開放。やはり「気分転換の場」「喫煙スペース」として自由に出入りできたことから、乗客からは好評を得ていました。

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かつての「はかた号」では、車内後部に2席分のサロンスペースが設けられていた(須田浩司撮影)。

 その後、運行距離が1000kmを超える「はかた号」(京王電鉄/西日本鉄道。京王はのちに撤退)や「ドリームふくふく号」(ジェイアールバス関東/サンデン交通)でもサロン席を採用し、フリースペースとして重宝されました。特に「ドリームふくふく号」に導入された車両は、日本初のサロン付き2階建て夜行高速バスとして一躍注目を集めたものです。

 しかしながら、やがてサロン席の利用状況は低下し、健康増進法の制定で車内は完全禁煙化されていきます。さらに、道路交通法改正による乗客のシートベルト着用義務化、道路運送車両の保安基準の改正などの理由で、サロン席を有する高速バス車両の製造自体が難しくなったことから、現在はすっかり見かけなくなりました。

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コメント

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5件のコメント

  1. ドリーム号の下りで新名神で解放休憩が追加された時は嬉かったな
    エアロキングはかた号のビデオ放映や軽食支給などのサービス
    乗り継いだ同社の鹿児島行きも同じ映画を放映してたっけ

  2. 初めてドリーム号乗った時は車内で当時流行っていた曲が聞けて感激した記憶があります。
    いまは便利になりすぎてそういう感激もなくなってきたような。

  3. はかた号のサロン室は覚えている。
    確かに煙草吸っている人いたなあ。
    愛煙家の皆さんにとっては辛い世の中になってしまったものだ。

    北海道のラジオ、テレビ番組放映サービスはなるほどと思った。
    遠距離路線などは一度乗車すると、6~8時間は降りれないから(休憩地除く)。スマホなんかもかえって飽きるんだよね。

  4. 日本人のバス観が別物になると言って良い程の大変革だな

  5. 「拘束バス」と言えば名鉄バスの青葉号の4列シート車運行便(繁忙期限定)もそうらしいですね…
    (名鉄観光バスの車輌と乗務員で運行。)

    ごく普通のトイレ無し4列シート車なのに拘束バスなんだとか…