「指名買い」される高速バスはここが違う! 群雄割拠の夜行路線、ブランド戦略あれこれ

近年、大都市どうしを結ぶ高速バス路線では、多数の高速バスをウェブサイト上で比較したうえで予約することが定着しました。ライバルではなく、自社便を選んでもらうにはどうしたらよいか――各事業者が様々な戦略を練っています。

JRも黙ってへんぞ!

 平成エンタープライズやウィラーは、2000年代にいわゆる「高速ツアーバス」に参入し、その後、乗合バスへと移行した事業者です。そのような、高速ツアーバスからの「移行」事業者らによる攻勢に対し、古くから首都圏~京阪神の夜行バスを運行してきたジェイアールバス関東/西日本ジェイアールバス陣営も、ブランド戦略に乗り出しました。

 両社は、単なる「路線愛称」に過ぎなかった「ドリーム号」を、「ブランド」に昇華させる試みを重ねています。有名女性タレントを「アンバサダー」に起用し、テレビCMを展開したり車両にラッピングを行ったりしています。老舗事業者ならではの安全、安心への取り組みをサイト上で具体的に掲載するなど、品質の可視化にも熱心です。そもそも、誰でも知っている「JR」という社名、「ドリーム号」というわかりやすく覚えやすいブランド名称は最大の強みです。

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「ドリーム号」運行30周年記念として、アンバサダーの横山由依さんがラッピングされたバスが2019年3月まで運行されている。画像はイメージ(画像:西日本ジェイアールバス)。

 とびきり豪華な車両を投入してブランディングを図る事業者もあります。徳島県を拠点に2006(平成18)年から高速バス(当時は高速ツアーバス)に参入した海部観光は、2011(平成23)年、全席がほぼ個室タイプでわずか12人乗りの「マイ・フローラ」を長距離夜行の徳島~東京線に投入しました。「日本一豪華な高速バス車両」として、当時は数々の新聞や雑誌、テレビ番組などで紹介されたものですが、収益性で見れば長距離夜行路線はそれほど高くありません。同社は、東京線「マイ・フローラ」のメディア露出で地元における社名の認知度を上げると同時に、徳島~大阪線を徐々に増便するという戦略を採りました。徳島~大阪は他事業者の高速バスが30分間隔で走る「ドル箱」であり、乗務員や車両も効率よく運行できることから収益性も極めて大きい路線なのです。

 現在、海部観光の大阪線は1日16往復にまで成長しました。同社の高速バスには「マイ・エクスプレス」という横文字の愛称が付いているものの、地元では「海部観光」「海部さん」といった呼び方で親しまれています。いまでは台風が接近した際など、地元の新聞やテレビで、徳島バスやジェイアール四国バスといった老舗の事業者と並んで、同社の高速バスの運行状況も紹介されるようになりました。「海部さん」と親しみを込めて呼ばれることこそ、ブランド価値のあらわれなのだと実感します。

 このようにバス事業者どうしが切磋琢磨しながらブランド価値の向上に努めていますが、万一にも大きな事故などがあると、その事業者だけでなく高速バス全体の価値を下げ、客足が遠のきます。そう考えると、事故なく安全に運行を続けることこそ、全事業者共通で最も重要なブランド戦略なのかもしれません。

【了】

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コメント

6件のコメント

  1. ドライバーの所属、車両の所有権に使用の本拠の位置、料理屋言っても調理師免許提示してあるよ~

  2. 車体の色を覚えてもらうのが有効な戦略なのならば、一時的なラッピングって逆効果だよね

  3. 群雄割拠の後には天下統一して欲しい所だが

  4. 高速ツアーバスからの「移行」事業者は今でも絶対に利用しない。

    あくまでも昔から公共交通事業者として運営している「JR系」「電鉄系」「バス専業」等の老舗事業者しか選択肢にはなり得ません。

    多少は割高であっても、高速バスの収入で地元ローカル路線などの維持(穴埋め)などに活用されている事例も多々であり、安全確実の面ダケでなくチョットした差額が地域にも貢献できると思えると気持ち的にもプラスです。

    昨今は「今さえ良ければ・・・」「自分さえ良ければ・・・」が主流になりつつあり、残念にさえ思えてしまうのですが。

  5. 何で毎度の事に実際の事業認可を受けてる業者名を公表しないのでしょうかね?

    事故るとすぐに出すくせに

    昔は車体の一角に事業者名を貼り出す義務がありましたけどいつの間にか貸し切りか、乗り合いの掲示義務だけになりましたよね

    ウイラーブランドのバスが東名阪で横転した時も請負会社のドライバーの11日連続勤務が明るみになりましたが

    バス停の定義他、路線認可を場当たり的に数合わせをすれば現場のドライバーに負担がいくのは当たり前で

    それとウイラーバスの日本高速バスってどんな組織なんでしょうか?

    物流ではトラックを保有しない仲介運送業なんてのがあるようですが

  6. WILLERは鉄道も経営している「鉄道系」事業者ですけどね。鉄道の割合が低いって?大手私鉄で東京メトロを除く事業者は鉄道事業の収益なんて軒並み3割程度ですよ?まぁ大手私鉄の高速バスは一時に比べてかなり減少しましたよね。WILLERにしても京成バスや千葉交通、奈良交通と組んで運行してたりしますしね。

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