「空気を運ぶバス」は予約制にすれば解決? 「デマンドバス」で地域交通再生なるか

人口の少ない地方を中心に、利用予約に応じて運行する「デマンドバス」の導入が進められています。多くは人口減少などを背景に路線バスの撤退を受けて導入されているものですが、どのような効果が生まれているのでしょうか。

これはタクシー? じつはあいまいな線引き

 人口の少ない地方を中心に「デマンドバス」の導入が進められています。「デマンド」とは、需要、要求、請求といった意味で、乗車に事前予約が必要となるバスのことです。

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三重県玉城町の「元気バス」。利用予約に応じて運行するデマンドバスで、ワゴン車が使用されている(画像:玉城町)。

 その運行形態は多種多様です。決まったルートで運行されているバス路線の一部をデマンド化したものや、多数あるバス停のなかから予約のあったバス停だけを最短で結ぶもの、あるいはバス停を設置せずに自宅や駅、商業施設などを結ぶといったタクシーに近いようなものなどもあります。この場合、「デマンドタクシー」や「乗合タクシー」と呼称して運行する自治体もありますが、両者に明確な線引きはありません。

 特に地方では、人口減少やマイカーの普及などにより路線バスの利用者は年々減少しています。そうした状況で、特に地方自治体が運行するコミュニティバスでは、誰も乗っていないのに運行するという、いわゆる「空気輸送」をなくして予算を削減し、財政負担を軽減するため、デマンドバスやデマンドタクシーの導入が進んでいます。そういった性格上、なかには予算削減や利用促進のための奇策を打ったり、地域住民向けに特化したしくみを作ったりと、自治体により様々な施策が見られます。

 地域住民への細やかなサービスという視点でいうと、三重県東部の玉城町(たまきちょう)で2009(平成21)年から段階的に始まったデマンド型の「元気バス」が挙げられます。町では導入にあたって町内の公民館など主要施設にタッチパネル式の予約用端末を設置したほか、60歳以上の高齢者にはスマートフォンを貸与し、ここからも予約ができるようにしました。それだけでなく、緊急通報などの安全見守りサービスや、安全情報配信サービス(台風などの防災情報や町の広報)など、総合的な施策を展開しています。

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コメント

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7件のコメント

  1. 高齢者の免許返納より先に役人のお役目の返納が先かもしれませんね
    やめる、やめる詐欺で食いつなぐアホ事業者共なんぞ後回しでいいですからね

  2. 被災地の為にも紛糾(普及に非ず)して欲しい!

  3. デマンド方式は良いと思うだけど、「外からの利用者」を無視するケースも在るのでそこの制限だけは無しにして欲しい(事前申し込みの地域住民限定)

  4. かなり利用は少ないのだろうが、アウェイ客は全く利用できなくなってしまっている。
    アウェイ客はレンタカーかタクシーということになってしまうのだろうか。

  5. 結局は今の法律に無理が。
    なんでデマンドシステムや自家用車になったかと言うと、
    一つは諸税かかりすぎ。
    車は使えば痛むし燃料も。
    新車となれば自動車取得税など。
    燃料いれれば揮発油税やらなんやら。
    ならば動かさないのも解決策のひとつに。

    もう一つは法律上の不備。
    今の法律は大都市で毎時数本の頻発運転路線多数抱えて所有台数も数百台。
    一方の日に数本でも路線バス運行の法律は同じ。

    だから例えばの話。
    車両数2台(うち予備1台)とかでは認可降りませんし、
    地元のタクシーや貸切専業が駅まで相乗り5000円で引き受けるよ。
    なんて事も出来ない。

    もちろん人もそうで、
    運行管理者兼運転士兼整備士兼…
    で社員二人何て言うのもダメ。

    小さくなればなるほど経費負担額が重くなったり、
    過疎地で交通機関維持しやすい法律に市内と無理。

  6. 素晴らしい!誰が為の移動手段てことだよね

  7. タクシー会社orバス会社の人件費は1日いくらとか1ヶ月いくら。
    ついでにいえば、NPOだって霞を食ってるわけじゃない。
    ところが、自治体+旅客で払う費用は走行分だけ

    自治体が交通を保証するような雰囲気持たせつつ、待機分の赤字を民に押しつけてる
    タクシーメーター基準で補填してもらえるならまだマシだろうけど、走行分だけのコストしか払ってもらえないと大赤字の慈善事業になる
    そして無理矢理慈善事業を押しつけられた, 田舎のタクシー会社やバス会社は倒産するのです
    じゃあ、NPOだと無理して続けるのか、破綻するのか、はたまた自治体が心を入れ替えるのか