空自F-15Jに初の女性パイロット誕生の背景 女性と戦闘機の歴史、大戦期はエースも

航空自衛隊に2018年8月、初の女性戦闘機パイロットが誕生しました。世界的には100年以上前からいたという女性戦闘機パイロットですが、一時期姿を消していました。その歴史的な流れを解説します。

第二次世界大戦期にはエースも

 日本では松島2等空尉が初となった女性戦闘機パイロットですが、海外では100年以上前から存在していました。一般的には1912(大正元)年に現在のトルコの前身であるオスマン帝国と、ギリシャ、ブルガリア、セルビア、モンテネグロが結成したバルカン同盟が戦った「第一次バルカン戦争」で、航空機(機種不明)からオスマン帝国の領土に宣伝ビラを撒布した、ブルガリア空軍のレイナ・カサボバが世界初の女性戦闘機パイロットと見なされていますが、1912年の時点では戦闘機という概念が存在していなかったことから、1936年にトルコ空軍で戦闘機パイロットとなった、サビハ・ギョクチェンを世界初の女性戦闘機パイロットとする意見もあります。

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リディア・リトヴァク上級中尉。独ソ戦などで、ソ連空軍の戦闘機パイロットとして活躍した。

 第二次世界大戦ではアメリカとイギリスで、製造された工場から基地までの空輸や、戦闘機の空対空戦闘訓練の標的の曳航、男性パイロットの訓練をおこなう女性パイロットの部隊が編成されています。アメリカとイギリスでは、女性戦闘機パイロットの役割は後方支援に限定されていましたが、ドイツとの戦いで男性パイロットが消耗したソ連空軍では、女性パイロットだけの戦闘機や爆撃機の飛行隊が編成され、リディア・リトヴァク上級中尉は単独で11機、味方の戦闘機との共同で3機、エカテリーナ・ブダノワ上級中尉は単独で5機、味方の戦闘機との共同で6機のドイツ軍機をそれぞれ撃墜し、5機以上の敵機を撃墜したパイロットに与えられる「エース」の称号を得ています。

 ただ、こうした目覚しい活躍の一方で犠牲も多く、リトヴァク、ブダノワの両上級中尉は第二次世界大戦中に戦死を遂げ、後方支援部隊であったアメリカ空軍(当時は陸軍航空隊)の女性航空部隊「WASP」の隊員も、事故で38人が殉職しています。

 なお日本でも1934(昭和9)年に女性パイロットとして初の海外への飛行を成し遂げ、その年度の最も優れたパイロットに贈られる「ハーモン・トロフィー」を受賞した西崎(旧姓松本)キクが、日本陸軍に志願していますが、日本陸軍は志願を受け入れず、戦前の日本では女性の軍用機パイロットは誕生することなく終わっています。

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