空自F-15Jに初の女性パイロット誕生の背景 女性と戦闘機の歴史、大戦期はエースも

21世紀、いまだ偏見はなくならず

 21世紀に入ると女性戦闘機パイロットを採用する空軍の数はさらに増え、UAE(アラブ首長国連邦)空軍のマリアム・アル・マンスーリ少佐のように、2014年のISIL(イスラム国)への攻撃作戦で中隊指揮官を務めた女性戦闘機パイロットや、残念ながら2016年11月の事故で亡くなられてしまいましたが、中国空軍のアクロバットチーム「八一飛行表演隊」のメンバーに抜擢された、余旭上尉(他国では大尉に相当)のような、卓抜した操縦技術を持つ女性戦闘機パイロットも現れています。

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アメリカ空軍で最初のF-35Aパイロットとなったクリスティーン・マウ中佐(画像:アメリカ空軍)。

 ただ、長年男性の仕事と見なされてきた戦闘機パイロットに女性が進出したことに対する偏見や誤解はいまだに根強く、2014年にはアメリカのテレビ局が前に述べたマンスーリ少佐を揶揄する発言をおこなって社会問題となったほか、日本国内でもネット上には結婚退職した自衛隊の女性パイロットの例を挙げて疑問視する意見が見受けられます。

 おそらく松島2等空尉も、こうした誤解や偏見とは無縁ではないと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思いますが、松島2等空尉に続くべく訓練を受けている女性戦闘機パイロット訓練生や、これから戦闘機パイロットを志す女性のためにも、誤解や偏見に打ち勝って欲しいと思いますし、そのためにはわれわれ国民も女性だからという理由ではなく、ひとりの戦闘機パイロット、ひとりの自衛官として見守り、応援していくべきだとも思います(文中敬称略)。

【了】

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Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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