ロシア軍機伝統芸「トウキョウエクスプレス」とは 冷戦期以来の定番コース、目的は?
空自機によるロシア機へのスクランブルは珍しいものではありませんが、9月1日のロシア機による飛行ルートは、日本列島をぐるりと一周するものでした。大迷惑もいいところですが、どのような飛行機が、なんのためにそのようなことをするのでしょうか。
ロシア機が日本をぐるりと周回
防衛省は、2018年9月1日(土)にロシアのTu-142哨戒機2機がオホーツク海から日本海を南下し、対馬海峡を通過して、沖縄を回って太平洋方向に東進し、今度は伊豆諸島近くを北上して本州を掠め、国後島付近を通って樺太方向に飛行したと発表しました。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して行動を監視しましたが領空侵犯、危険行動は確認されませんでした。公表された行動概要を見るとTu-142は日本をぐるりと周回飛行したことがわかります。
ロシア機の飛行パターンに「トウキョウエクスプレス」と呼ばれるものがあります。戦後から1990年代まで続いた冷戦時代にソ連の軍用機が日本周辺を偵察飛行し、東京まで近づくコースが多かったことから在日アメリカ空軍が呼び始めたと言われています。わざと防空識別圏(領空ではない)に侵入し、航空自衛隊や在日アメリカ軍の対応の能力、電子情報を収集するほか、政治的な示威行動の場合もあります。9月1日の周回飛行は翌日の9月2日(日)がロシアの対日戦勝記念日であったことと関係があるのかもしれません。
「トウキョウエクスプレス」は、房総沖まで太平洋を南下してUターンして戻っていくパターンが多く、9月1日のように周回飛行するパターンは珍しいです。また長距離飛行任務になるのでTu-95戦略爆撃機(NATOコードネーム「ベア」)系列の大型機が使われることが多く、今回のTu-142もTu-95の哨戒偵察機型です。
トルコは撃墜してたのに