早すぎた「宙に浮く乗りもの」!? 成田空港内を結んだ「シャトルシステム」とは

宙に浮いて走った!? その正体はじつは…

 レーンに沿って走るシャトルシステムは、一見して鉄道の一種である新交通システム(ゆりかもめなど)のように思われます。しかし、その仕組みはまったく異なっていました。シャトルシステムの「車両」自体には車輪もなく、モーターやエンジンのような動力も搭載されていなかったのです。

 ではどうやって動いていたのかというと、車両の下部につながれた牽引用のワイヤーによって引っ張られていました。ワイヤーは本館側の駅側にあった直径2mほどの巨大な巻き上げ機につなげられており、レーンの両脇に備えられたガイドレールに沿って、車両を牽引していたのです。運転士は乗っておらず、本館側の直下にあったシャトル監視室で運行がコンピュータ制御されていました。

 つまり、シャトルシステムは「横に進むエレベーター」だったのです。事実、このシステムを開発したのは日本オーチス・エレベータ。法規上もエレベーターの扱いでした。

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車両下部の側方にあるワイヤーが車両を引っ張るシステムだった(画像:風来堂)。

 さらにこのシャトルが特徴的なのは、車体が浮いているということ。車体が浮く乗り物というと磁力によるリニアモーターカーを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、このシャトルシステムはまったく違う仕組みで宙に浮いていたのです。

 全長約16mある車両の下面には、タイヤを寝かせて敷き詰めたように、丸くて平べったいエアーパッドが並んでいます。そのエアーパッドの下方に開いた直径1cmほどの孔から、圧縮空気が噴出されます。それにより地上から約0.1mm車体が浮き上がり、摩擦による抵抗をなくすことで、ワイヤーにて水平に牽引できたのです。日本国内ではここだけ採用されていたシステムでした。

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コメント

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2件のコメント

  1. そういえばJALがリニアモーターカーを研究してたけど、こんな利用を念頭にしてたんだろうか?

  2. ホバークラフトをワイヤーで引っ張ってたような物かな。どこから空気送ってたんだ?