陸自の水陸両用車AAV、南シナ海へ! 海外軍事演習初参加、意義はもちろん対中国

そしてもちろん、「対中国」

 第二に、水陸機動団が南シナ海に面するフィリピンに展開したというメッセージ性が挙げられます。南シナ海と言えば、中国による軍事的影響力が高まりつつあることが注目されていますが、その南シナ海に面するフィリピンでの演習に陸上自衛隊、それも島しょ奪回を任務とする水陸機動団がAAVを持ち込んで参加したことは、中国に対するある種のメッセージとなったのではないかと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は感じます。

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米海兵隊のAAV-7から浜辺に展開するフィリピン海兵隊(画像:アメリカ海兵隊)。

 たしかに、今回の「カマンダグ2」において水陸機動団が参加したのは「人道支援・災害救援」の訓練だけでしたが、実際にアメリカ海軍の艦艇からAAVを発進させ、浜辺に部隊を上陸させるという一連の流れは、有事における上陸作戦においても大きく変わるものではありません。つまり、はっきり明言されているわけではないものの、南シナ海での中国による軍事的影響力の強まりを日本が警戒しており、いざとなれば日本も南シナ海の問題に関与するという姿勢を見せるための演習参加だったということは言えるかもしれません。

 加えて、「カマンダグ2」はどこかの国との戦争を想定した訓練ではなく、あくまでも「テロや災害との戦い」に備える演習であるため、いくら実施場所が南シナ海に面しているとはいえ中国を過度に刺激することは考えにくいために、陸上自衛隊としても参加するハードルが低く、かつアメリカ軍やフィリピン軍との連携を深められるという意味においてはこれ以上なく理想的な演習だということも言えるでしょう。

 最後に、今回の演習に参加した水陸機動団の隊員1名が、2018年10月2日にスービック海軍基地の近くで発生した車両移動中の交通事故によって亡くなられました。亡くなられた隊員の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 大変申し訳ないのですが、必要ない記事なので受信したくないのですが…

  2. 国防だけでなく防災にも必要な装備ですね。

    しかしながら人道目的の訓練だから中国を刺激しないと断言するのは甘いと思います。

    抑止力とは、そういう代物です。