JRでも開始 貨物を旅客列車で運ぶ「貨客混載」、ローカル線の新たな収入源に

収入はどのくらい増えた?

 3点目は「環境負荷の軽減」。鉄道は自動車に比べて少ないエネルギーで走ることができ、二酸化炭素(CO2)の排出量も自動車より少ないという利点があります。トラックから鉄道に置き換える距離が長くなればなるほど省エネルギー化が進み、ガスの排出量も少なくなるのです。

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貨客混載に取り組むことが決まった宗谷本線の普通列車(2017年10月、草町義和撮影)。

 こうしたメリットがあることから、鉄道をはじめとした公共交通の貨客混載が徐々に広がっていますが、実際にどのくらいの量の貨物を運んでいるのでしょうか。

 貨客混載事業を始めて1年半以上が経過した北越急行に取材したところ、「宅配荷物の量ではなく、貨客混載を行った回数でカウントしています。2017年度は貨客混載輸送を187回(1回=1日1往復)実施しました」(運輸部)と話しました。

 事業開始前の2017年4月1~17日と土曜・休日を除いた平日の日数は約230日ですから、輸送する宅配荷物がゼロの日もあったことになります。ローカル線の場合は沿線人口が少ないため、宅配荷物の量もそれほど多くはないのです。

 量が少ないということは、運賃収入も大きくはありません。北越急行運輸部は「収入の詳細は非公開ですが、全体としては微々たる金額で、経営に大きく影響するほどではありません」と話し、単独ではローカル線の経営改善の決定打になっていないことをうかがわせます。

 その一方で「輸送の余力を生かして少しでも収入を増やそうという観点から、貨客混載に取り組んでいます」とも話しました。大きな設備投資を行わずに一定の収入が得られることは確か。複数ある経営改善策のひとつとして貨客混載事業を導入するというのが、これからのローカル線経営のスタンダードになるかもしれません。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. 路線の最大乗車率によるが、車載の「宅配ボックス」もありってことだろうか? 牧歌的な表現をすれば、田舎の祖父母さんが週初に病院に行く途中で上り列車の「ボックス」で都会の孫への荷物を預け、週末の下り列車の「ボックス」で孫からのお返しを受けとるとか。……銭湯の個人ロッカーみたいだ。

  2. 例え貨物運賃収入自体は少なくても 鉄道存在の付加価値が高まるので貨客混載事業は大いに意義がある。

    貨客混載も進めることでJRなど旅客鉄道事業者は堂々と 赤字でも鉄道を維持発展できるような会計制度の提案を社会に行っていいと思う。 鉄道などの公共交通を赤字黒字だけで判断する会計や考え方を見直す時期だ。

  3. ローカル線を維持するとなれば、やっぱり地域に特化したサービスを充実させる必要があるでしょうし良い事ですよ。
    地方の人口減少が進んでいるのでこういう対策をとっても将来的に行き詰ることにはなるでしょうけど、せっかく鉄道路線が通っているのにうまく活用できていない所がほとんどな気がしましたしね。