橋がないなら架けていく、陸自の「架橋装備」とは? 理論上は数kmの橋も!(写真20枚)

戦場はもちろん、地震などの災害時も含め、橋がないからといって立ち止まっていては、計画遂行に支障をきたしてしまいます。なければ架ける、というわけで、陸自の架橋装備を解説します。

はしけにもなる92式浮橋

 81式自走架柱橋が橋柱を用いる機構なのに対して、水面に橋節を浮かべて橋にするのが92式浮橋です。水量や川床の状態に左右されることなく橋を架けることができますが、構造上、水流の影響を受けやすく、橋を保つには、つねに川の下流側から上流側に向けて水の流れに反する形で動力ボート(エンジン付きボート)が橋を押し続ける必要があります。

 また、橋節と動力ボートを組み合わせれば自在に動けるはしけ(渡し船)になるため、その点はほかの軍用橋にはないメリットといえます。

Large 20181203 01
「みちのくALERT2008」で北上川に架設された92式浮橋(月刊PANZER編集部撮影)。

 ただし、川岸に降りられる場所でないと橋節や動力ボートをトラックの荷台から降ろせないため、護岸工事などで川岸が垂直に近いように改修されている場所では架橋できません。

 そして、上述したように動力ボートが必要なため1両で橋を架けることはできず、橋節と動力ボート、そして川岸と浮橋を繋ぐための橋端橋節、さらに軟弱な川岸に降りる際に地面に敷くための道路マットなどで1セットとなっています。耐用重量は50tのため、90式戦車を含む陸自の全装備車両が通過可能です。

Large 20181203 02 Large 20181203 03 Large 20181203 04
     
積載状態の92式浮橋の橋節(月刊PANZER編集部撮影)。
積載状態の92式浮橋の動力ボート(月刊PANZER編集部撮影)。
92式浮橋は橋節が水面に浮いた状態のため、常に動力ボートで支え続ける必要がある(月刊PANZER編集部撮影)。

 東日本大震災では東松島市とその沖合にある宮戸島をつなぐ橋が津波によって流されてしまったため、92式浮橋のはしけによって島に油圧ショベルなどの重機が運ばれました。その実績から今回の「みちのくALERT 2018」でも、橋ではなくはしけとして用いた訓練が行われていました。

この記事の画像をもっと見る(20枚)

【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. かつては70式自走浮橋という、自走して更に艀にもなる萌え車両がありました。

    3両を横に繋ぐと74式戦車が載せられる性能でした。

    平成初期の東京都の防災訓練でも出動し、避難民乗せて東京湾を走ってましたが、羨ましかったw

    老朽化と河川敷から直接進入できる場所が減ったのが引退の理由のようでさびしくあります。

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開