橋がないなら架けていく、陸自の「架橋装備」とは? 理論上は数kmの橋も!(写真20枚)
60tまでOK! パネル橋MGB
81式自走架柱橋や92式浮橋よりも、より本格的な橋を架けるための装備が「パネル橋MGB(Medium Girder Bridge/中型桁橋)」です。この装備だけ日本製ではなくイギリスからの輸入品です。世界40か国で導入されたベストセラー軍用橋で、アメリカ軍によってイラク戦争でも使用されました。
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軽合金製の組み立て式橋梁で、ブロック構造(ユニット式)なのが特徴であり、81式や92式よりも各部が小さくできるため、細かく分割すれば人力運搬も可能で、柔軟に架橋する状況に対応することができます。最大通過重量は60tで、90式戦車を含む自衛隊の全車両が通過できます。
ただし、ほかの架橋装備よりも設置に時間と労力がかかるのが欠点で、迅速性には一歩劣ります。
東日本大震災では南三陸町の志津川地区において、海沿いの国道の仮設橋として、より本格的な仮橋ができるまでの約4か月間、使われていました。
わずか5分で橋渡し完了 91式戦車橋
ほかの架橋装備がトラックによる運搬形式なのに対して、戦車車体の上に橋節を搭載しているのが91式戦車橋です。ベースとなっているのは74式戦車(厳密には発電機を搭載する87式自走高射機関砲)の車体で、その上に全長20mの橋節を2分割し上下に重ねて積載しています。
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架橋は、これを電動式の油圧アームで押し出しながら連結することで行い、作業開始からわずか5分で橋を架けられますが、ほかの架橋装備や、たとえ91式戦車橋どうしでも組み合わせて使用することができないため、これ以上長くすることはできません。なお全長20mといっても橋端各1mは川岸に接地させなければ使用に耐えられないため、有効長は18mとなります。耐用重量は50tで、90式戦車を含む陸自の全車両が通過できます。
有効長は限られていますが、戦車がベースのため、戦車や装甲車などに随伴して悪路も走ることができ、架橋時間も約5分と短いため、必要な時に迅速に作業できるメリットがあります。ただし装輪ではなく装軌(いわゆるキャタピラー)車体のため、市街地や長距離を走るのが難しく、災害派遣で本車が必要になる場面はほとんどないといえるでしょう。
かつては70式自走浮橋という、自走して更に艀にもなる萌え車両がありました。
3両を横に繋ぐと74式戦車が載せられる性能でした。
平成初期の東京都の防災訓練でも出動し、避難民乗せて東京湾を走ってましたが、羨ましかったw
老朽化と河川敷から直接進入できる場所が減ったのが引退の理由のようでさびしくあります。