【帰省と「乗りもの」】授乳にぐずり…交通機関の対応は 子連れ帰省「心のバリアフリー」という大きな課題も

整備が進んでも、それだけでは解決できない「子ども連れ移動」の課題

 このように、公共交通では子連れでも利用しやすい環境づくりが進められていますが、「心のバリアフリー」という課題もあります。「子ども連れでは周囲に迷惑をかけてしまうのではないか」と考えてしまう親たちと「社会」とのあいだにある心理的な垣根、「心のバリア」を取り除くこと――かんたんにいえば、「子ども連れに対する社会の理解」についての課題、といえるでしょうか。

 2018年11月、国土交通省に「子育てにやさしい移動に関する協議会(こそモビ協議会)」が発足。そのメンバーである宇都宮大学の大森宣暁教授は、これまでの国土交通省の会議において、子ども連れ外出に関する「心のバリアフリー」のさらなる推進のために、「子ども連れ(ベビーカー利用者)外出者」を「移動制約者」として法的に位置づけることなどを提案しています。

「欧州では、子ども連れの人が困っているときに周囲の人がさっと手をさしのべることが多いのですが、日本では文化の違いからか、そうした光景があまり見られません。一方で、具体的にどう手をさしのべればいいか、わからない人も少なくないのです。たとえば子ども連れの人の『助け方』を解説したポスターなどを通じ、意識や理解の向上を促す啓蒙が必要でしょう」(宇都宮大学 大森教授)

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電車やバスなどで、ベビーカーを折り畳まずに使うことができることを意味するマーク(下)。国土交通省の協議会を経て制定されたもの(2016年8月、草町義和撮影)。

 前出の「こそモビ協議会」は、2013(平成25)年に発足した「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会(以下『ベビーカー協議会』)」の対象を、「子ども連れの移動」全般に拡大、発展させる形で誕生したものです。

 この「ベビーカー協議会」における議論と検討を経て、公共交通事業者により異なっていたベビーカー持ち込みルールが統一され、基本的に折りたたむことなく電車やバスに乗れるようになりました。言い換えれば、ベビーカーについての「社会的なルール」が決められ、それに関する「心のバリアフリー」が一歩前進しました。

 その「ベビーカー協議会」を、「子ども連れの移動全般」に広げて発足した「こそモビ協議会」、今後の「心のバリアフリー」推進に向けた動きが注目されます。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. 言うまでもなく 「お互いに気遣うこと」は大事だが、

    妊婦や幼い子供連れへの配慮を求める運動をしている者たちが 被害者意識の塊のようになって喚き叫ぶのではないか・度の超えた特権的措置や概念(女性専用車両的な問題)をもたらすのではという 一抹の不安を抱いてしまう。
    最近やたらめったら「妊婦・子供連れへの配慮を」とマスコミを利用して運動しているから。その動きがなんとなく 「男性嫌悪憎悪主義による女性専用車両」 との既視感を感じてしまった

    • 体罰はいけないからと、幼児に言葉で言い聞かせようとしかしない頭の悪い親が多いのも問題。
      言葉でわかる年齢じゃないだろ、もう少し頭を使えっての。

  2. 現在2歳のこどもの父親です。我が家には自家用車がないため、移動はもっぱら公共交通機関です。
    車内で泣いたりぐずり出したり大声をあげたりすることも少なくなく、そのたびに冷や汗が出、胃の縮む思いをしています。
    ただ、幸いこれまで、乗り合わせたほかのお客さんはみなさん理解のある方々ばかりで、あたたかい言葉をかけていただいております。ありがたいかぎりです。