自衛隊は積極的に海外へ 「いずも型空母化」を軸に読む防衛大綱、見えてくる世界戦略

改修はなぜ必要? 背景に太平洋方面の防衛

 それでは今回、いずも型をF-35Bの運用が可能になるように改修する目的とは、いったいなんでしょうか。これについて、防衛大綱と中期防では、太平洋方面での防空体制強化をその目的として挙げています。

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海自護衛艦「かが」に着艦する哨戒ヘリSH-60K。「哨戒ヘリ」とは、海上をパトロールし船舶や潜水艦を探知する能力に優れたヘリコプターのこと(画像:海上自衛隊)。

 近年、尖閣諸島がある東シナ海のみならず、その先の太平洋(フィリピン海を含む)でも中国軍の動きが活発化してきています。具体的には、中国海軍の艦艇や航空機が沖縄本島と宮古島の間にある宮古海峡を抜け、積極的に太平洋方面に進出してきているのです。こうした現状を踏まえて、防衛大綱では最近の中国軍の活動について「太平洋や日本海においても軍事活動を拡大・活発化させており、特に、太平洋への進出は近年高い頻度で行われ、その経路や部隊構成が多様化している」と分析されています。さらに、将来的に中国海軍が空母を中心とする機動部隊を本格的に運用するようになれば、こうした動きがより一層活発化するかもしれません。

 もしそうなれば、日本の太平洋側が有事の際に航空機から攻撃を受ける脅威にさらされます。その一方で、太平洋側、特に小笠原諸島周辺には、従来より中国やロシアの脅威に対抗する必要があった日本海側と比して、こうした航空攻撃などに対処するための戦闘機を運用可能な滑走路を有する基地の数が限られており、具体的には海上自衛隊が持つ硫黄島(東京都小笠原村)の基地のみという状況です。これでは、本州以遠の太平洋側での防空体制に隙間が生じる可能性もぬぐえません。

 こうした懸念は防衛大綱においても「(太平洋側は)広大な空域を有する一方で飛行場が少ない」という文言によってあらわされています。そこで、いずも型とF-35Bを組み合わせることで、まさに洋上の航空基地としてこれを活用し、既存の防空体制の隙間を埋めようとしているのです。

 単純に戦闘機を太平洋側に向けて飛行させるだけならば、日本本土から空中給油機などを活用しながら飛行させれば良いという考え方もあるかもしれません。ただ、空中給油機では燃料を補給することしかできず、当然、弾薬の補給やパイロットの交代を空中で行うことはできません。その点、改修後のいずも型ならば、着艦するF-35Bに対して燃料と弾薬の補給やパイロットの交代を行うことができ、太平洋側におけるより効率的な戦闘機の運用体制を構築することができるのです。

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コメント

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1件のコメント

  1. 空母の貧弱さによって、戦争を吹っ掛けやすい国(=戦争ができないのにしなくてはいけない国)にならぬように。
    チベットや満州、内蒙古のように漢民族に完全支配されたことのない国でさえ中国の一部だと言い張り植民地化を進めている国があるのだから。
    また、リベラルとか平和主義者といつわって、侵略者に手を貸している恥ずべき日本人の多さにはあきれる。