自衛隊は積極的に海外へ 「いずも型空母化」を軸に読む防衛大綱、見えてくる世界戦略
インド太平洋で活動を強化する自衛隊 背景にどんな戦略が?
今回の防衛大綱において、「太平洋」という単語を含む言葉は2種類使われています。ひとつは、すでに説明した「日本の太平洋側」というもので、これは日本列島の防空体制と関連する形で用いられています。
そしてもうひとつは、「インド太平洋」という形です。文字通り太平洋とインド洋のことですが、防衛大綱において日本は、このインド太平洋でのプレゼンス(存在感)を強化することが示されており、実は今回の防衛大綱において用いられている「太平洋」に関する言葉としては、後者の「インド太平洋」のほうが圧倒的に多いのです。言い換えれば、日本はこのインド太平洋を非常に重要視しているといえます。
この重要視の背景にあるのが、日本の安倍政権が掲げる「開かれたインド太平洋戦略」です。これは、インド太平洋を通じてアジアとアフリカを連結し、地域の安定と繁栄を実現しようという構想で、そのために、この地域における海洋の自由や法の支配を確保することを目指しています。重要なのは、このインド太平洋という概念には、中国が海洋進出を強める南シナ海も含まれているということです。つまり、日本は自国周辺の太平洋のみならず、南シナ海などにおける中国の海洋進出にも、自衛隊のプレゼンスを示すことで対抗していこうと考えているわけです。実際に、海上自衛隊は2017年には護衛艦「いずも」を、2018年には「かが」をそれぞれ中心とした部隊を、南シナ海などに「インド太平洋方面派遣訓練」と題して長期間派遣しています。
また、これは日本単独の試みではありません。防衛大綱においては、インド太平洋での「日米でのプレゼンス強化」をうたっていて、実際に上記の海自部隊によるインド太平洋方面派遣訓練では、フィリピン周辺などで米海軍の原子力空母などとも共同訓練を実施し、日米の連携をアピールしました。さらに、日本はオーストラリアやイギリス、フランスといった国々とも、インド太平洋での秩序維持で連携していくことを明らかにしています。
今回の防衛大綱は、これから日本がより積極的に海外、特にインド太平洋に進出し、かつそこで多国間協力を推進していくことを印象付ける内容となりました。そして、そこにおいて改修を受けたいずも型護衛艦とF-35Bがどのような役割を果たすことになるのか、注目する必要がありそうです。
【了】
空母の貧弱さによって、戦争を吹っ掛けやすい国(=戦争ができないのにしなくてはいけない国)にならぬように。
チベットや満州、内蒙古のように漢民族に完全支配されたことのない国でさえ中国の一部だと言い張り植民地化を進めている国があるのだから。
また、リベラルとか平和主義者といつわって、侵略者に手を貸している恥ずべき日本人の多さにはあきれる。