陸自に8台のレア車両「輸送防護車」 数だけの問題じゃない、ほとんど目にしないワケ

陸自の装備でレアなものといえば、その一角に上がるだろう車両が「輸送防護車」です。数も少なく、その出番もかなり限られているからですが、なぜそのような装備を調達したのか、そこにもウラがあります。

日本の装甲車ではだめだったの?

 冒頭で述べたように、日本には国産の装甲車が5種類もあります。これらを「輸送防護車」として使うことはできなかったのでしょうか。

 これらの装甲車は基本、国内における戦闘用で、兵員を戦場に輸送することを目的に作られているため、人を長距離輸送するには不向きとされています。96式装輪装甲車は一般道を長距離移動することができますが、隊員のあいだでは、後部兵員室に長く乗車するのは騒音や閉塞感などを理由に嫌がられると言います。トラックや高機動車の荷台の方が、決して快適とは言えないまでも、「まだまし」のようです。

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輸送防護車の右側面。比較的大きな防弾窓が設けられている。後部の丸い物はカバーされた予備タイヤ(月刊PANZER編集部撮影)。

「ブッシュマスター」は、広いオーストラリア大陸を移動することを前提に設計されているため、居住性も配慮されています。窮屈ながらも空調があり、「まだまし」レベル以上にはあるようです。また、日本国内では想定されていない、地雷や仕掛け爆弾などの脅威下でも陸上輸送を行える車両ということも、導入時の選定における重要なポイントでしたが、逆にいえば日本製装甲車は、地雷や仕掛け爆弾に対する防御は弱いのかと不安になるところでもあります。

 自衛隊が海外に出動して邦人の保護救出に当たるとなれば、在外公館との調整、派遣部隊の受け入れ準備、経路の確認といった事前準備から始まり、輸送機や輸送船も用意して、輸送防護車だけでなく多くの人員、車両、装備を持っていく「大作戦」になります。それゆえ、いざというときにスムーズに動けるよう、各機関が協力して「邦人等保護措置訓練」を毎年実施しています。輸送防護車も活躍しますが、実際にそれが海外で活躍するのは在外邦人に危険がせまっているとき。姿を見ない「レア」なクルマのままで居て欲しいものです。

【了】

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