新幹線の延伸区間、なぜ最高260km/hなのか 九州・北陸・北海道…「速度制限」の謎

「最高速度アップ」ようやく検討段階に?

 1996(平成8)年に盛岡~新青森間が全てフル規格で建設されることが決まり、北海道新幹線の実現が具体化し始めたことを受けて、JR東日本は2000(平成12)年発表の中期経営計画「ニューフロンティア21」のなかで、東北新幹線盛岡以南の360km/h運転を目標に掲げました。

 2005(平成17)年に試験車両「FASTECH360」が製造されて各種試験が行われましたが、営業運転ではコストパフォーマンスを考慮し、まずは320km/h化を目指すことに。営業列車用の量産車両として緑のE5系電車と赤いE6系電車が開発され、300km/h運転が2011(平成23)年に始まり、続いて2013(平成25)年には320km/h運転が実現しました。

 新幹線車両の寿命は15年程度ですから、2011(平成23)年から本格導入されたE5系は2020年代半ばには引退の時期を迎えます。2019年に登場する予定の試験車両E956形「ALFA-X(アルファエックス)」は、E5系の後継車両として360km/h運転を目指すプロジェクトの第一歩であり、その流れのなかで、ようやく整備新幹線の最高速度向上が技術、経営の両面で現実的な課題として浮上したことが分かります。

 整備新幹線の最高速度は、整備計画決定から50年近く「放置」されたというよりは、交通計画、政治、経営、技術など様々な課題をひとつずつ乗り越えながら、やっと速度向上を検討できる段階までたどり着いたというほうが実態に近いかもしれません。

【了】

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コメント

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5件のコメント

  1. 高速道路の制限速度が低いのも、なんでですかね?

    140㎞/h規格で設計された新東名・新名神も、制限緩和の計画が叩き潰され
    長い時間をかけ、一部区間だけが120㎞に上がっただけ。

    一説には、国交省がJRに忖度してワザと速度を上げさせないみたいですが

    • 新東名もあくまで将来的に対策を実施した際に140km/hを出せるような基本構造にしているだけで、現在の設計速度は120km/hですよ。
      140km/hに上げたければロビー活動でもして対策予算つけてもらわないと無理でしょうね。
      (ただあの車線幅・交通量で140km/h±αとか安全に出せるのかという疑問もありますが…いろんな人がいますし…?)

      JRとしてみたら別に実勢速度さほど変わらないわけですから、高速料金値下げという話でもなければ忖度される筋合いはないでしょうね。
      どなたの説かは存じ上げませんが、強いて言うなら警察庁への忖度では?

    • 車間距離の関係で渋滞だからけの日本の高速道路では140キロ走行なんて許したら事故だらけになるよ。
      そもそも軽やトラックはどうすんの?

    • 渋滞減少・事故予防の為に、各メーカーは自動運転の研究してるんだけどな
      新幹線を抱えてるJRにとっちゃあ都合が悪いだろうがねえ(^^)

  2. いくら、自動車や道路の性能が良くても、頭や性格の悪いやつが運転していれば、ロシアンルーレットを楽しんでいるようなものだ。