新幹線の延伸区間、なぜ最高260km/hなのか 九州・北陸・北海道…「速度制限」の謎

260km/h運転が難しかった時代

 しかし、新幹線高速化の前に、いくつもの大きな壁が立ちふさがります。試験車両による高速試験の結果、240km/h以上の走行には技術的な課題が多くあることが判明しますが、新幹線には高速化の前に解決せねばならないほかの課題も多くありました。

 ひとつは、増え続ける旅客需要に対応するための輸送力増強。そしてもうひとつは、列車本数の増加に伴う騒音、振動などの公害対策です。1975(昭和50)年に環境庁(現在の環境省)が騒音に関する環境基準を定めたため、騒音問題を解決しない限り速度向上は不可能となりました。しかも、国鉄の経営悪化と1973(昭和48)年に発生したオイルショックの影響で、新幹線の建設計画そのものが暗礁に乗り上げてしまったのです。

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山陽新幹線で最高300km/h運転を実現した500系電車(2011年10月、恵 知仁撮影)。

 1980年代に入ると、フランスの高速列車「TGV」が260km/h運転を開始し、鉄道の高速化が一気に加速します。国鉄は当面の目標であった260km/h運転の実現に向けた検証を進める一方で、将来的な270km/h~300km/h運転の実現に向けた研究に着手しました。

 この成果は分割民営化後に花開き、1992(平成4)年に東海道新幹線300系電車の270km/h運転(「のぞみ」デビュー)、1997(平成9)年に山陽新幹線500系電車の300km/h運転、そして東北新幹線E2系電車の275km/h運転と、1990年代に次々と結実します。また限定的ですが、上越新幹線で1990(平成2)年から約10年間、トンネル内の下り坂において275km/h運転も実施されています。

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コメント

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5件のコメント

  1. 高速道路の制限速度が低いのも、なんでですかね?

    140㎞/h規格で設計された新東名・新名神も、制限緩和の計画が叩き潰され
    長い時間をかけ、一部区間だけが120㎞に上がっただけ。

    一説には、国交省がJRに忖度してワザと速度を上げさせないみたいですが

    • 新東名もあくまで将来的に対策を実施した際に140km/hを出せるような基本構造にしているだけで、現在の設計速度は120km/hですよ。
      140km/hに上げたければロビー活動でもして対策予算つけてもらわないと無理でしょうね。
      (ただあの車線幅・交通量で140km/h±αとか安全に出せるのかという疑問もありますが…いろんな人がいますし…?)

      JRとしてみたら別に実勢速度さほど変わらないわけですから、高速料金値下げという話でもなければ忖度される筋合いはないでしょうね。
      どなたの説かは存じ上げませんが、強いて言うなら警察庁への忖度では?

    • 車間距離の関係で渋滞だからけの日本の高速道路では140キロ走行なんて許したら事故だらけになるよ。
      そもそも軽やトラックはどうすんの?

    • 渋滞減少・事故予防の為に、各メーカーは自動運転の研究してるんだけどな
      新幹線を抱えてるJRにとっちゃあ都合が悪いだろうがねえ(^^)

  2. いくら、自動車や道路の性能が良くても、頭や性格の悪いやつが運転していれば、ロシアンルーレットを楽しんでいるようなものだ。