本州~九州ルートの「拠点」が大正の姿に! 門司港駅がグランドオープン(写真54枚)
海陸結節の拠点駅から「レトロ観光地」に
門司港駅は、本州と九州を隔てる関門海峡の九州側にある駅です。1891(明治24)年4月1日、いまの場所から東へ約200mの場所に、初代・門司駅として開業。1914(大正3)年1月には現在地に移転し、いまの駅舎が使われるようになりました。
この時代、東京や大阪から九州を旅行する人は、東海道・山陽本線に乗って本州西端の下関駅(山口県下関市)へ。連絡船で関門海峡を渡って九州に入り、初代・門司駅から九州各地へ向かう列車に乗り換えていました。つまり、初代・門司駅は九州に渡った人が最初に利用する鉄道駅。連絡船と鉄道がつながる重要な拠点駅として、大勢の人が利用しました。
戦時中の1942(昭和17)年、関門海峡の海底トンネル(関門トンネル)が開通し、本州から九州への直通列車が走るようになりました。関門トンネルは初代・門司駅から約6km博多寄りにある大里駅に接続。これを機に大里駅は2代目の門司駅となり、初代・門司駅も現在の門司港駅に改称されました。門司港駅は本州と九州を結ぶルートから外れ、海と陸の結節点としての機能も低下。時代の流れから取り残されたのです。
その一方で門司港駅とその周辺は、大正から昭和初期にかけて建設された建築物が多数残り、レトロな雰囲気を楽しめる観光地として発展しました。こうしたこともあり、門司港駅舎の老朽化が進んだ2010年代には、現在の駅舎を修繕して維持することが決定。2012(平成24)年から本格的な工事が始まりました。
1988(昭和63)年には、「大正ルネサンス」をいまの時代に伝える貴重な建築物として、門司港駅の駅舎が国の重要文化財に指定されました。青柳社長は、重要文化財に登録されたころの担当者。式典終了後のあいさつで「この門司港駅は生きている駅なんです。形だけの文化財にはしたくないと、文化庁にお願いしたうえで、文化財に登録されました」と、当時の思い出を語りました。
【了】
Writer: 草町義和(鉄道ニュースサイト記者)
鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。
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