マンションに消える廃線跡、その正体は 住宅街を貫く線路、踏切跡… 東京・王子の風景

途中で別の貨物線が分岐していた

 北王子線からは、かつて別の貨物線も分岐していました。

 北王子線跡の途中に、「王子四丁目公園」という小さな公園があります。北区立中央図書館の黒川さんによると、そこが「『須賀線』の分岐点跡」とのこと。

「王子四丁目公園」から東へ延びる道路は、隅田川に架かる豊島橋へと続いていきます。道幅が比較的広く、バスも走る道路ですが、かつてはこの道路の真ん中に「須賀線」と呼ばれた貨物線が通り、豊島橋の手前に立地する大規模団地「豊島五丁目団地」まで延びていたそうです。

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1966年の王子近辺。北王子線、須賀線が書かれている(時系列地形図閲覧ソフト「今昔マップ3」〔(C)谷 謙二〕にて作成)。

 この団地は、かつての日産化学工業(現・日産化学)王子工場。その敷地内に、貨物駅の須賀駅があったといいます。

 須賀線が廃止されたのは1971(昭和46)年。かつてはこの線路を通じ、日産化学の工場から王子駅方面へ化学肥料などが運ばれたそうです。「途中で別の化学工場へ通じる支線も分岐していたのですが、それはもともと、戦前に弾薬などを製造していた陸軍造兵廠(ぞうへいしょう)への引き込み線です」と黒川さんは話します。

【写真】住宅街の廃線「北王子線」探訪

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