ANAの超大型機A380就航で競争激化のハワイ路線 座席数「大幅増」のメリットは

競争にはLCCの動向も影響

 2019年冬ダイヤからのフル稼動後に毎日2往復、32席を売らなくてはならないファーストクラスについても、10月以降、30万円台に設定されるなど相当な安価になっており、営業サイドの危機感がうかがえます。

 もっとも「本当の思い切った施策」はウェブで閲覧できるようなところには反映されないのが普通で、特定の旅行代理店へのボリュームインセンティブ(多くの金額を売ればキックバックを支払う)や、法人および高額所得者に強い代理店向け、あるいはANAの直販用に大胆な安売り施策が打たれている可能性があるので、5月以降の販売実態など、もう少し情報を拾ってみる必要があるでしょう。A380登場で旅客利便や運賃メリットなどがどう変わっていくのか、それを見極めるには時間がかかりそうです。

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ドアがある、個室型の「フライングホヌ」ファーストクラス(2019年4月、恵 知仁撮影)。

 また5月30日(木)にはシンガポールのLCC、スクートが関空~ホノルル線から撤退します。子会社の統合を進めるシンガポール航空による路線の取捨選択判断の一環ではありますが、先発のエアアジアXを追って長距離LCCが以遠権(自国から相手国へ到着した航空機を、さらに第三国へ運航する権利)を使った、他国間の同一路線で競合する日本初の事例は、スクートの搭乗率低迷(シンガポールからの乗り継ぎ客が特に不調だったとのこと)によってわずか1年半で幕を閉じました。しかしこれは日本~ハワイ間の競争激化の幕開けに過ぎず、今後、首都圏市場で長距離LCC各社がどのような戦略をとるかも含め、しばらくはハワイから目が離せない状況が続きそうです。

【了】

【写真】ANAのA380シート全種類

Writer: 武藤康史(航空ビジネスアドバイザー)

航空ビジネスアドバイザー。大手エアラインから独立してスターフライヤーを創業。30年以上の航空会社経験をもとに、国内外で航空関係のビジネス創造を手がける。「航空業界を経営目線で理解してもらうべく、航空ビジネスのコメンテーターとしても活躍中。

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コメント

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2件のコメント

  1.  日系の航空会社のファーストクラスは仕切が低過ぎてフライトアテンダントなどから丸見えなのはどうなんだろうと思う。エミレーツ航空だったかな?仕切が高くて覗き込むようにしないと見えないとか、エールフランスだったと記憶しているけど天井から伸びるカーテンで完全にセミ個室化出来るようにしてプライベート空間をしっかりと確保出来るようにしないと選択肢から外される可能性が高いと思う。

  2. A380の生産が短命に終わろうとしているのに
    このタイミングで導入なんですね