全線開通で交通量増の常磐道、「ほぼ新設」の4車線化進む 工事現場は川の底
交通量の増加に対応すべく、暫定2車線区間の4車線化事業が進む常磐道。「4車線化」とはいえ、現道と「同じ道路をイチから造る」のにほぼ等しい状況で、地上はもちろん、「川の底」でも工事が急ピッチで進められています。
事情が異なる常磐道
NEXCO東日本は2019年4月14日(日)、常磐道の4車線化工事現場の一部を、一般向けのツアーで公開しました。
常磐道は2015年に全線開通し、首都圏と仙台方面とのあいだで東北道の迂回路となったことで交通量が増加。いわき中央IC(福島県いわき市)以北の「暫定2車線区間」について、福島県内のいわき中央IC~広野IC間27kmと、宮城県内の山元IC~岩沼IC間14kmでは4車線化の、広野IC~山元IC間では必要な箇所へ付加車線を整備する工事が行われています。
4車線化の方針は2016年に決定し、政府が東日本大震災からの「復興・創生期」と位置付ける期間内、2020年度の完成を目標に工事が進められています。ただ、こうした暫定2車線区間では通常、将来の4車線化を見越した造りになっているところ、常磐道は状況が異なるそうです。
「この区間はちょうど道路公団民営化のころ(2005年ごろ)、公共事業が縮小された時期に計画されたことから、施設が必要最小限しか造られていません。側道もなければ、盛り土の下をくぐるボックスカルバート(トンネルとなるコンクリートの箱)も2車線分しかない状態です」(NEXCO東日本 仙台工事事務所 小林鉄也さん)
暫定2車線区間のボックスカルバートなどの構造物は通常、あらかじめ4車線分造られていて、その上から土を盛れば拡幅可能になっているところ、今回は60基のボックスカルバートを延長させる必要があるとのこと。「4車線化」とはいえ、現道に並行して「同じ道路を4年でイチから造る」のにほぼ等しいと、小林さんは話します。
ちなみに、盛り土の量は100万立方メートルで、その土を運ぶダンプを1列に並べた場合、1000km分に相当するとのこと。また、工事に使用されるコンクリートの量は3万2000立方メートルで、50mプール40杯分に相当するそうです。
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