「峠の釜めし」だけじゃない 食べた後も普段使いしたくなる全国の「器に凝りすぎ」駅弁

「器の再利用」への飽くなきこだわり? が詰まった駅弁も

「食べた後も容器を使える」駅弁として有名なのは、横川駅(群馬県安中市)の「峠の釜めし」でしょう。1958(昭和33)年に発売されたこの駅弁は、「寒さと『からっ風』が厳しいこの土地で温かく家庭的なものを」との想いから、温かい弁当を提供すべく、保温性に優れた益子(ましこ)焼の釜めし容器が採用されました(近年は一部で紙容器の場合あり)。

 この容器はちょうど1合ぶんの炊飯が可能で、その方法は製造元である「おぎのや」のウェブサイトでも紹介されています。慣れると、火を強くするタイミング次第で固さや食感も自由自在、ご飯におこげを作ったり、ごま油を流し込むことで、香りを引き立たせるといった応用も可能です。また、植木鉢として再利用することを想定し、器の底に排水用の穴を空けやすくなっており、この構造は実用新案も取得しています。

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2019年1月に京王百貨店で開催された「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」で、復刻版が販売された「特急列車ヘッドマーク」弁当(宮武和多哉撮影)。

 駅弁容器を“弁当箱として”普段使いできるものといえば、「特急列車ヘッドマーク弁当」です。往年の国鉄・JRの特急列車ヘッドマークを容器の蓋にプリントしたもので、2017年の第1弾「ひばり」を皮切りに、これまで9種類がJR東日本の主要駅で限定発売されましたが、すぐに売り切れてしまうため、復刻版が販売されることもあります。

 この容器は、数々のキャラクター弁当箱を製造するスケーター社(奈良市)製。ふたの4点止めができて密閉性も高く、弁当箱としての機能も高いものです。

【了】

【写真】「峠の釜めし」、再現にトライ!

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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