西武新宿線「幻の複々線化」正式に中止へ 「無期限延期」から四半世紀
西武新宿線の西武新宿~上石神井間で計画されていた複々線化が正式に中止されます。四半世紀前に決まった複々線化の都市計画を廃止するための手続きがスタート。東京都は素案を作成し、沿線で説明会を開きます。
地下に急行運転用の線路を増設
事実上凍結されていた西武鉄道新宿線の複々線化(上り線と下り線をそれぞれ2本にすること)が、正式に中止される見通しになりました。東京都は西武新宿~上石神井間の複々線化計画を廃止するための都市計画素案を作成。2019年5月下旬から6月初旬にかけ、説明会を開きます。
西武新宿線は、西武新宿駅と本川越駅(埼玉県川越市)を結ぶ、全長47.5kmの鉄道路線。線路は本川越駅付近を除いて複線(上り線と下り線がそれぞれ1本、合計2本)です。同線の混雑率は1980年代前半に200%を割り込みましたが、その後は190%台が続き、激しい混雑が続いていました。
そこで、西武新宿駅から上石神井駅(東京都練馬区)までの約12kmを複々線化する構想が浮上しました。地上を通る複線の線路とは別に、地下約40~60mの深さに複線の地下トンネルを建設。高田馬場駅を除く中間駅をすべて通過する急行線として整備するというものです。線路の増設で全体の運転本数が増える一方、列車が地上と地下に分散することから従来の地上を走る列車の運転本数が減り、これにより道路の踏切渋滞の緩和も狙っていました。
また、ターミナルの西武新宿駅はJR東日本の新宿駅から約400m離れていますが、地下急行線のホームはJR東日本の新宿駅に近い場所に設置し、ほかの鉄道路線への乗り換えを改善することも計画。増発により必要な車両数が増えることから、西武新宿線の南大塚駅(埼玉県川越市)で分岐する安比奈線(1960年代以降、運行を休止していた貨物線)の終点付近に車両基地を整備することになりました。
地下化は金がかさむから東横線みたいに高架化して高架上を急行線、高架下を緩行線にすればよかったのに