西武新宿線「幻の複々線化」正式に中止へ 「無期限延期」から四半世紀

沿線で都市計画素案の説明会を開催

 こうして1987(昭和62)年、西武新宿線の複々線化計画が特定都市鉄道整備事業として認定され、東京都も1993(平成5)年に複々線の都市計画を決定しました。

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複々線化に対応するための車両基地が終点付近に整備されるはずだった安比奈線(2013年5月、草町義和撮影)。

 しかし、当初は約1600億円とされていた事業費が、工事費の高騰などで約2900億円に。しかも、このころから西武新宿線の利用者が少子高齢化に伴い減少に転じ、混雑率も1994(平成6)年度には190%を割り込んで187%になりました。こうしたことから1995(平成7)年には、複々線化計画の無期限延期が決定。工事は事実上凍結され、いまに至ります。

 その後、複々線化が計画された区間のうち東京都中野区内の約2.4kmでは、現在の線路を地下化する工事が始まり、これが実現すると7か所の踏切が解消されて道路の渋滞緩和が図られます。列車の混雑率も2017年度で160%になり、複々線化が計画されたころに比べ30%近く低下。複々線化が目指していた混雑や渋滞の緩和はほぼ実現するといえます。車両基地が設けられるはずだった安比奈線も、2017年5月、正式に廃止されました。

 東京都の都市整備局は、複々線化の都市計画を廃止する理由などについて、説明会で明らかにするとしています。説明会は2019年5月29日(水)から6月1日(土)まで、沿線の新宿、中野、杉並、練馬の4区内で開催される予定です。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 地下化は金がかさむから東横線みたいに高架化して高架上を急行線、高架下を緩行線にすればよかったのに