航空会社の「マイレージサービス戦争」過熱 戦場は空からウェブへ 利用者は何を得る?

「たまにしか乗らない人」も無視できない存在に

「ロングテール」とは、アメリカのAmazon.comが生み出したといわれるビジネスモデル。売れ筋でないものでも商品数を格段に増やすことで、“塵も積もれば”方式でトータルの売上が人気商品を凌駕するようになる一方、販売コストはネット販売インフラの拡大で急速に低下するため、営業的に不効率なニッチ商品を販売しても十分な利益を生むことが可能になる、というマーケット構造の変化を指す概念でもあります。売上グラフにおける「恐竜のシッポ」(売上が低い商品群)がどんどん長くなり、面積が増えて収益に貢献するようになるのです。

 これが、マイレージ会員の構造にも当てはまるわけです。航空市場においても低運賃が浸透し、たまにしか飛行機に乗らない人も旅行の機会が増加、つまり小頻度顧客が拡大し、マーケティングにおいて無視できない存在になってきたとも考えられます。

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ANAは2019年2月、アライアンス未加盟だったフィリピン航空と業務・資本提携した(2019年2月、恵 知仁撮影)。

 ただ航空ビジネスはアマゾンと違い、「販売できる座席数に限りがある」ため、ロングテールが延々と伸びることができない市場です。大手2社はなぜそこにマーケティング資源を投入するようになったのか、それにはふたつの背景があると筆者(武藤康史:航空ビジネスアドバイザー)は考えます。

 ひとつは、ネットビジネスモデル化を進めることで旧態依然とした旅行代理店経由の航空券販売をやめ、手数料コストのかからない(少ない)ウェブ販売を通じた「自社販売化」に移行することです。全面的なウェブ販売への移行は、必然的にSNSとの連関、SEO(サーチエンジン最適化)対策を打つことになり、それがロングテールをカバーするマーケティングにつながります。

 もうひとつは、「非航空一般ビジネスとのマイレージ提携」の推進です。この分野ではANA、JALとも顧客マーケティングとそれに付随するビジネス提携業務を別会社(ANA X株式会社、株式会社JALマイレージバンク)に分離し、航空ビジネスの枠を超えて事業提携を拡大しようとしています。そのひとつの柱は当然、FFPの原点である基幹優良旅客に対するロイヤルティマーケティングですが、それに加えてマイル提携による「実利と潜在顧客層の拡大」が大きな事業戦略になっているのです。

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