航空会社の「マイレージサービス戦争」過熱 戦場は空からウェブへ 利用者は何を得る?

過熱する「空以外」の戦い マイルが日常生活に入り込む

 ANA XやJALマイレージバンクのウェブサイトを見ると、「マイルを貯められる」提携先が無数に掲載されています。マイラーたちはANA、JALのサイトからネット販売サイトに入って商品を購入することで、エアラインのマイルと販売サイトのポイントを両方もらえる仕組みです。ここで消費者がマイルを獲得した場合のコストは、当然ながら販売者がエアラインに支払うわけで、ポータルサイト(楽天市場やアマゾン)の場合はサイト運営者がエアラインにコストを支払うことになります。

 この場合、「ANA、JALがマイレージ顧客を売り場に連れてきてくれる」対価として販売側がエアラインに払うコストは、1マイルあたり3円から4円とされます。標準的なマイル付与レベルが「200円の購買に対して1マイル」だとすると、マイル購入のコストは商品価格の1.5%から2%ということになります。薄利多売業者には厳しい数字であり、エアラインにとっては積み重ねれば非常に大きな数字になってくるのです。

 マイル販売コストは一律ではなく、相手との力関係によっても異なります。いちばん売買価格が低いのがエアラインどうしのマイル交換で、1マイル1円を切るといわれています。これは相互にマイルを付与し合う前提なので、相互付与分を相殺すれば片方の持ち出しが極端に大きくなることはなく、エアラインどうしで大きな金額のやり取りをする必要はないとの認識に基づくものでしょう。

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「JALカードSuica」の例。貯めたマイルは飛行機のほか、列車やバスなどでも使える。ANAも同様のカードを展開(画像:JAL)。

 またウェブ上における一般のマーケットプレイスで、もともと集客力のあるサイト(楽天市場やアマゾン)は、マイレージ会員がエアラインサイトから入ることで販売につなげるという「購入側の航空会社依存度」が、一般の商店よりも低いためレートが安いといった見方もされています。特にエアライン側が販売側に対し、競合相手と組まないなどの条件をつければ、さらにマイルコストは下がっていくでしょう。現実にエアラインサイトからポータルサイトに誘導している事例を見てみると、たとえばアマゾンはJAL、楽天市場はANAとしか直接取引を行っていません。

 こうなるとエアラインにとってのロングテールとは、座席を購入する小頻度旅客ではなく、日常的にエアラインサイトから入ってネット販売サイトで買い物をする一般消費者だといえます。そこには座席数(つまりテールの長さ)の制約が歯止めになってしまうことはなく、提携相手・業態を広げれば広げるほど、マイルは消費者の日常における生活行動に入り込み、エアラインに新たな収益を生み出します。まさに「非航空ビジネス」といえるのです。

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