梅田と直結「阪急大阪空港線」実現の可能性は? 整備効果や採算だけじゃない課題

実現に必要な「3新線」の整備

 ただ、わずか4kmほどの路線とはいえ、本当に実現するかどうかは未知数です。

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大阪空港線が整備されると阪急の梅田駅から乗り換えなしで伊丹空港に行ける(2017年2月、草町義和撮影)。

 近畿運輸局は2018年4月、大阪空港線を含む関西の新線構想について、整備効果などを試算した調査結果を公表。それによると、大阪空港線の事業費(車両の導入費を除いた額)は約700億円、利用者数は1日あたり約2万5000人と想定され、この路線の社会的な整備効果は事業費の1.4倍あるとされました。

 この試算は、3つの新線が整備されていることを前提条件としています。具体的には、新大阪~北梅田(仮称)~JR難波・南海新今宮間を結ぶ「なにわ筋線」(新大阪~北梅田間はJR東海道本線貨物支線の地下化)と、阪急線の十三駅となにわ筋線の北梅田駅を結ぶ「なにわ筋連絡線」、十三駅と新大阪駅を結ぶ「新大阪連絡線」です。

 なにわ筋線は、大阪の中心部と関西空港のアクセスを改善するための新線。ほかの2線も、なにわ筋線の整備効果を高めるための支線といえます。これら3新線との連携を図ることで、大阪空港線の整備効果も高まるというわけです。たとえば、なにわ筋線となにわ筋連絡線を整備したうえで大阪空港線も整備すれば、十三駅で乗り換える必要はあるものの、伊丹空港~関西空港間を移動しやすくなります。

 逆にいえば、3新線を先に整備しないと、大阪空港線の整備効果が出にくいともいえます。なにわ筋線は2031年春の開業を目標にしていますが、なにわ筋連絡線と新大阪連絡線の開業時期は未定です。

 しかも、近畿運輸局の試算では、大阪空港線の整備効果はあるとしつつ、採算性に関しては「40年間で黒字転換する可能性が低い」としています。国が鉄道の整備に補助金を出すかどうかを判断する際、開業後40年以内に黒字化できるかどうかがひとつの目安になっているため、現状では事実上、建設できません。

 大阪空港線を整備するなら、まずなにわ筋線やなにわ筋連絡線、新大阪連絡線の整備を進め、そのあいだに大阪空港線の採算性向上策を並行して検討する必要があるでしょう。仮に実現することが決まったとしても、開業までには相当な時間がかかりそうです。

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コメント

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6件のコメント

  1. >伊丹空港の廃止論は尻すぼみになり
    いやいや、リニア開業と同時に廃止予定です。

  2. なにわ筋線~十三~新大阪が開業しているのが前提として…
    十三~大阪空港は三線軌条にする。
    阪急梅田~大阪空港と南海orJR~なにわ筋線~大阪空港の直通運転系統を設定する。
    これくらいしないと値打ちが無い。

  3. 阪急なんて観測気球ばっかりなんだから本気で作る気があるわけがない。
    大阪府や大阪市が金を出してくれる前提の、人任せの無計画な話

  4. この計画は頓挫するだろう。必要性がないから。昭和30年代くらいに、豊中から分岐させて空港線をつくる決断をするべきだったが、阪急は踏み切らなかった。伊丹線と空港線(幻)をつなぐくらいしてもよかったのだ。

    いまとなっては、バス便が充分便利だし、モノレールまでできてしまった。いまさら空港線をつくられても、宝塚線、能勢電鉄線の利用者が迷惑するだけ。

    本件とは関係ないが、山陽新幹線に大阪空港駅をつくるべきだった。日本では各交通機関の連携が考えられていないので、こうした発想は生まれないのだろうか。

  5. いまさら要らない。バスで十分。よほどの渋滞でもないかぎり、30分程度で着く。阪急梅田駅のホームは3階にあるが、バス停は地上。上下の移動を考えると、バスのほうが楽。

    大阪空港線をつくるなら昭和30年代にやっておくべきだった。阪急は中途半端な事業が多い。たとえば、伊丹線を川西まで建設しておくべきだったし、箕面線も茨木あたりで京都線と接続させておけばよかった。

    この計画にかんしては、必要ないし、そもそも宝塚線の過密ダイヤを考慮すると不可能だとおもう。

    話題はずれるが、山陽新幹線を大阪空港の近くに建設し、空港駅をつくってくれていたら便利なのにとおもう。

  6. 先に梅田駅を集約してほしい。
    阪急阪神地下鉄×3にJR。
    全てバラバラでどこの乗り換えも遠い。
    百貨店を抱える私鉄は無理だろうけど。