哨戒機の内装に見るお国柄 瀬取り監視で展開カナダ空軍CP-140「オーロラ」が機内公開
搭乗員席の配置にも独自工夫
さらに気になったのは、P-3Cとは搭乗員の配置がまったく異なっていることです。P-3Cでは、機体前方のコクピット後ろ左右に、機体の司令塔として哨戒活動をコントロールする「戦術航空士(TACCO:タコ)」2名が座り、その後ろに各種センサーを操るオペレーター4名がそれぞれ座る配置になっています。しかしCP-140では、コクピット後ろ左右のスペースは搭乗員用の荷物置き場になっており、搭乗員はTACCOを中心に機体中部にある「コ」の字型配置のコンソールに向かって座るようになっているのです。
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このような配置をとった理由について、CP-140の搭乗員は「TACCOは機体の司令塔として機内の情報を全て把握する必要があります。そのため、TACCOとセンサー要員がお互いに直接やり取りできる配置になっているのです」と説明しました。一見斬新な配置に見えますが、そこには非常に合理的な理由が存在していたわけです。
今回、沖縄に展開したCP-140は、5月30日に嘉手納基地へ到着し、6月4日から7月の第1週にかけて、おもに東シナ海において3日に1回という頻度で瀬取り監視任務を実施しました。2019年8月現在、CP-140はすでに嘉手納基地を離れてカナダへと帰還しましたが、カナダ軍は既述した「オペレーションNEON」のもとで継続的に日本へ艦艇や航空機を派遣することを決定しています。これに基づいて、次にCP-140が嘉手納基地に展開するのは、2019年10月から11月になる予定です。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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