「北朝鮮による瀬取り」監視の実際のところ カナダ軍に聞く監視活動の流れ、その全貌

瀬取り監視の流れとは?

 このような瀬取り監視は、おもに東シナ海において日本を含む各国の海軍艦艇や航空機によって実施されています。しかし、瀬取り監視がどのような流れで行われ、そこで収集された情報はどのように活用されるのかという「瀬取り監視の全体像」については、あまり報じられる機会がありません。そこで、今回はカナダ軍を例にとり、瀬取り監視の全体像について見ていきたいと思います。

Large 190811 sedori 02

拡大画像

「レジャイナ」艦橋で取材陣の質疑応答に応じるジェイコブ・F・フレンチ艦長(稲葉義泰撮影)。

 基本的に、瀬取りの監視は広大な海域をパトロールする必要があるため、監視作戦は空と海の両面から行われます。カナダ軍の場合、海は先述した「レジャイナ」が、空は沖縄県のアメリカ空軍嘉手納基地に展開するCP-140「オーロラ」哨戒機がそれぞれ担当します。

 まず、CP-140の乗員がこれまで明らかになっている瀬取りが疑われる船舶についての情報を離陸前のブリーフィングで確認します。その後、嘉手納基地を飛び立ったCP-140は、瀬取りを行う船舶を探し出す「捜索」、その船舶の位置などを特定する「ローカライズ」、現場から離れる船舶を追いかける「追跡」、そしてこれら一連のアクションで収集した情報を機内の衛星通信装置で地上の施設に伝える「報告」という、4段階の手順で瀬取り監視を実施します。このうち最後の「報告」では、嘉手納基地に設置されている「可搬式戦術作戦センター(DTOC)」というコンテナ式の情報収集センターに飛行中のCP-140から直接情報を伝達し、集約する仕組みになっていますが、これは今回、初めて日本に持ち込まれました。

 一方、洋上で監視にあたる「レジャイナ」は、航行する他の艦艇をレーダーや目視、さらに各種センサーや艦載ヘリコプターのCH-148を使って監視し、瀬取りが疑われる船舶を撮影したり追跡を行ったりします。この際、収集された情報は、レーダーやそのほかの戦闘に必要なすべての情報が集まる艦内の「オペ―レーションセンター(いわゆるCIC、戦闘指揮所)」に集約されます。

【写真】日本初上陸、カナダ軍の「どこでも情報集約所」

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。