「北朝鮮による瀬取り」監視の実際のところ カナダ軍に聞く監視活動の流れ、その全貌

「瀬取り」がどのような行為か、すっかり知れ渡った昨今ですが、それを監視する側についてはあまり知られていないかもしれません。沖縄に展開していたカナダ軍から、実際の段取りや司令部の所在など、その全貌について話を聞きました。

瀬取り監視の中枢は意外な場所に

 CP-140ではDTOC、「レジャイナ」ではオペレーションセンターにそれぞれ集約された情報は、日本、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、韓国の要員が集まる「執行調整所(ECC)」に集められます。

「ECC」は2018年4月に設立された、いわば瀬取り監視のための司令部で、瀬取り監視に参加する各国の軍隊を指揮する機能こそ持ちませんが、それぞれの国が活動するエリアなどを調整することにより、効率的な瀬取り監視を実施するためには欠かせない存在です。設置されているのは地上施設ではなく、神奈川県のアメリカ海軍横須賀基地を母港として活動する、アメリカ第7艦隊の旗艦「ブルーリッジ」艦内にあります。そのため、たとえば海外での演習に参加するために「ブルーリッジ」が移動すれば、ECCもそれにあわせて移動することになります。

 このECCには、瀬取りが疑われる船舶の画像や船名、さらにはその登録国など各国の軍隊が収集した瀬取りに関する情報が全てもたらされます。それをもとに、瀬取り疑惑船舶のリストが作成されたり、あるいは各国の情報機関や政府を通じて国連にも瀬取りに関する情報が報告されたりします。

 この「情報を集約する」ことの重要性について、在日カナダ大使館武官のウグ・カヌエル大佐は次のように語ります。

「瀬取りは1隻や2隻ではなく、洋上で繰り返し何隻もの船舶を経由して行われます。そのなかには、監視の目をごまかすために船尾に掲げている旗や船名、さらに塗装などを変える船舶も存在します。そこで、各国がECCに情報を集約することで、たとえばデータ同士を突き合わせ、『この船は以前違う船名だったぞ』ということを突き止めることができるわけです」

 つまり、瀬取り監視において最も重要なのは、まさに継続した監視と情報の集約というわけです。

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カナダ軍のCH-148「サイクロン」哨戒ヘリコプター(画像:カナダ空軍)。

 2019年8月現在、CP-140および「レジャイナ」はともに瀬取り監視の任務を終えて日本を後にしていますが、2019年9月から10月にかけてはフリゲート「オタワ」が、そして10月から11月には再びCP-140が、日本を拠点に瀬取り監視を実施する予定となっています。

【了】

【写真】日本初上陸、カナダ軍の「どこでも情報集約所」

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