ツイてない! 旧海軍重巡「最上」はどんな艦? 台風、衝突、味方撃沈…その一部始終

古今東西どの国の海軍にも、いわゆる「強運艦」とされる艦艇が見られるものですが、一方で、どうにもツイていない艦艇もまた見られるものです。フィリピン近海の海底で発見された旧海軍の重巡洋艦「最上」は、どうやら後者のようでした。

外した魚雷の先に陸軍舟艇…ツイてない!

「最上」は1935(昭和10)年7月28日に就役し第四艦隊に配属されますが、やっぱりツイてません。9月26日、艦隊演習中に台風に遭遇して大きな被害を出した、いわゆる「第四艦隊事件」に巻き込まれます。「最上」も台風の強烈な波風により前部構造物がひずんで第二砲塔が動かなくなってしまい、また改修を受けることになります。そんなこんなで繰り返された改修費用は、建造費の50%にもなっていたとか。

 ところが乗組員の評価は上々でした。南方作戦を意識してか、通風はよくなり一部には冷房が設置されました。兵員に特に喜ばれたのは、居住区がハンモックから三段式鉄製ベッドになったことでした。

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主砲を重巡洋艦向けの20.3cm連装砲に換装された「最上」。

 太平洋戦争が始まると、南方方面の上陸作戦支援に参加します。1942(昭和17)年2月28日のジャワ島攻略作戦におけるバタビア沖海戦で、「最上」は敵艦に魚雷を発射しますが、外れた魚雷が陸軍の特殊船「神州丸」と輸送船2隻、病院船、掃海艇の5隻に命中してしまいます。「神州丸」は上陸作戦における重要な揚陸艦で、しかもジャワ島攻略作戦を担う第16軍司令官 今村 均陸軍中将以下、司令部要員が乗っていました。今村中将も海に投げ出され、救助されますが、長距離通信用無線機や暗号書、また今村中将が大切にしていたという重要文化財級の銘刀が海没してしまいます。

 陸軍が着底した「神州丸」をサルベージした際に、日本海軍の九三式魚雷(酸素魚雷)と思われる破片を発見し、調査した結果「最上」が発射した魚雷による「戦果」と判明しました。命中率のよくない魚雷が同時に5発も味方に命中してしまうなど、不運としか言いようがありません。海軍は陸軍に謝りましたが、今村中将は快く許したそうです。

【写真】「最上」が撃沈、旧陸軍の先進的ドック型強襲揚陸艦「神州丸」

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