ツイてない! 旧海軍重巡「最上」はどんな艦? 台風、衝突、味方撃沈…その一部始終

古今東西どの国の海軍にも、いわゆる「強運艦」とされる艦艇が見られるものですが、一方で、どうにもツイていない艦艇もまた見られるものです。フィリピン近海の海底で発見された旧海軍の重巡洋艦「最上」は、どうやら後者のようでした。

あの「陸奥」爆沈事故にも遭遇…ツイてない!

 不運は続きます。1942(昭和17)年6月には、ミッドウェー島攻略部隊の支援として出撃しますが、「赤城」「加賀」など正規空母4隻を失って撤退する際、アメリカ潜水艦からの回避行動中に、同じ最上型重巡洋艦の2番艦「三隈」と衝突してしまいます。このあと空襲を受け「三隈」は沈没、「最上」も大破します。

「最上」は佐世保に帰り着き、修理と同時に空母戦力補完のため航空巡洋艦に改装されることになります。後部砲塔が撤去され水上機用甲板が増設され、最大11機の水上機を搭載できるようになりました。

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航空巡洋艦に改装された「最上」。不鮮明ながら後部に水上機が並んでいるのが見てとれる。背後の空母は「大鳳」または「飛鷹」といわれる。

 1943(昭和18)年6月8日、「最上」は広島県の柱島泊地で、戦艦「陸奥」の謎の爆沈に遭遇します。このとき、敵潜水艦の攻撃と早合点して、あわてて爆雷2発を投射したのも「最上」でした。

 1944年(昭和19)年10月のレイテ沖海戦では、3機の水上偵察機を発進させてアメリカ艦隊の偵察情報をもたらしましたが、海戦は日本海軍の負け戦で、「最上」も砲撃戦で大破炎上、そこへ今度は重巡洋艦「那智」がぶつかってきました。駆逐艦「曙」が「最上」の救援に駆け付けますが、さらに空襲を受けるなど被害は拡大し、10月25日、「最上」は「曙」により雷撃処分されます。

 色々ツイていない「最上」艦でしたが、レイテ沖海戦で発進した水上機は偵察後、「最上」に帰艦するのではなく、ミンドロ島の陸上基地に向かうよう指示されており、「最上」はこの段階で最期を予感していたのかもしれません。ちなみに“ツイていた”水上機は偵察結果を「最上」に通信筒で投下して任務を果たし、無事ミンドロ島にたどり着いています。

【了】

【写真】「最上」が撃沈、旧陸軍の先進的ドック型強襲揚陸艦「神州丸」

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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