成田空港アクセス競争、新局面に スカイライナーVS成田エクスプレスの攻防、鍵はLCCか

成田スカイアクセス線の開業で、都心部から成田空港までの所要時間が1時間を切った京成スカイライナー。JRのN'EXとの競合で、利用率に大きくかかわるのは訪日客です。そんななか、近年増加するLCC利用者がカギを握っています。

アジア圏のLCC利用者を狙う

 一方でJRのシェアも伸びていますが、これは外国人利用者の増加が影響していると思われます(国際線旅客数は2010(平成22)年の日本人1741万人、外国人877万人に対し、2018年は日本人1425万人、外国人1736万人)。外国人旅行者の4分の1は、約3万円(大人1人)でJR全線の新幹線・特急を含む普通車(一部列車を除く)を7日間乗車できる「ジャパン・レール・パス」を利用しており、JRを中心に移動する傾向にあるからです。

 実際、国際線出発旅客(第1・第2ターミナル利用者)のシェアを見ると、日本人はJRが17.1%(うちN’EX12.7%)、京成電鉄が27.3%(うち「スカイライナー」12.9%)と京成電鉄が圧倒的に優位ですが、外国人はJRが23.3%(うちN’EX19.6%)、京成電鉄が23.4%(うち「スカイライナー」13.4%)とJRのシェアが高く、特にN’EXの利用率が多いことが分かります。

 では、京成が狙うべき顧客層はどこにあるのでしょうか。LCC専用の第3ターミナル利用者に焦点を絞ると、そのヒントが見えてきそうです。空港利用者の中でも、特に価格面を重視するLCC利用者は、JRが18.6%(うちN’EX13.4%)に対して、京成電鉄が39.1%(うち「スカイライナー」18.2%)とダブルスコアを付けており、「スカイライナー」利用率はN’EXを大きく上回っています。外国人旅行者も、JRが20.1%(うちN’EX14.9%)に対して、京成電鉄が40.8%(うち「スカイライナー」20.6%)とN’EXを上回る利用を得ています。

 LCCが就航するアジア圏の旅行者は、「ジャパン・レール・パス」を利用する長期滞在・周遊型の観光客から短期滞在型のリピーター層へと切り替わりつつあります。京成電鉄は価格感度の高い彼らを、「スカイライナー」の新たな顧客にしようと考えていることでしょう。今回の「スカイライナー」20分間隔化は、日本人利用者のみならず、こうした新たな顧客層に「使いやすい」「分かりやすい」をアピールしたいという、強いメッセージがあったように思われます。

【了】

【グラフ】成田スカイアクセス線開業による移動手段の変化

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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