ティーガーI戦車の源流か ドイツWW2初期の重装甲「軽」戦車 期待された役割とその顛末

第2次世界大戦期のドイツ戦車ティーガーIには、これを彷彿とさせる先行車両がありました。ただし武装は貧弱で、戦車の定義を問いただしたくなるようなものです。防御に振り切った軽戦車で、ドイツはなにをしようとしていたのでしょうか。

重装甲軽装備で目指した先は…?

 I号戦車F型は対フランス戦を見越して考案されました。用途は、ドイツ、フランス国境沿いにフランスが築いた、マジノ要塞線の攻略です。

「軽戦車」とは本来、その機動力を生かして、偵察をしたり敵の後ろに回り込んで奇襲したりといった任務を想定したものでした。特にドイツ軍は第1次大戦の戦訓から、敵の主力となるべく戦わず動きまわり、敵の弱点や後方の司令部や補給路を奇襲して混乱させ、組織的に崩壊させるという、いわゆる「電撃戦」を目指していましたので、攻撃力や防御力よりも速力を重視していました。

 しかしI号戦車F型は、逆に敵の待ち構える要塞正面へ投入され、敵の攻撃を引き付ける「おとり役」になることが任務でした。アンバランスなまでの重装甲は、要塞からの攻撃に耐えるためだったのです。一身に敵弾を受けることになる乗員には同情するしかありません。

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II号戦車J型。ティーガーIを小型化したような特徴的な外見をしている。一方で武装はアンバランスなまでに貧弱(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 初期に生産されたI号戦車、II号戦車の車体前面装甲は13mmしかなく、小銃弾に耐えられる程度だったのに対し、I号戦車F型、II号戦車J型の車体前面装甲は80mm、側面でも50mmにもなりました。当時ドイツが主力にするべく生産を急いでいたIII号戦車の車体前面装甲は50+20mm(1939〈昭和14〉年のポーランド戦訓で20mm装甲板が急遽、追加取り付けされた)、IV号戦車D型の車体前面装甲は30+30mm(同じくポーランド戦訓で追加)だった時代です。

 80mmといえば中戦車に分類されるV号戦車パンターの車体前面装甲と同じですので、その重装甲ぶりが分かります。装甲が厚くなって砲塔が大きくなったため、I号戦車F型、II号戦車J型ともに車体上部に乗員が出入りするハッチを設けることができず、側面に円形ハッチが備えられています。

 ところが、エンジンはフリードリヒスハーフェン・マイバッハ発動機製作所製のHL45P 直列6気筒液冷ガソリンエンジンで150馬力しかありませんでしたので、機動性は著しく悪く、路上でもI号戦車F型は最高速度25km/h、II号戦車J型は最高速度31km/hというものでした。

【写真】連合軍を恐怖に慄かせた本家ティーガーI戦車 ほか

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