ティーガーI戦車の源流か ドイツWW2初期の重装甲「軽」戦車 期待された役割とその顛末

第2次世界大戦期のドイツ戦車ティーガーIには、これを彷彿とさせる先行車両がありました。ただし武装は貧弱で、戦車の定義を問いただしたくなるようなものです。防御に振り切った軽戦車で、ドイツはなにをしようとしていたのでしょうか。

フランス戦には間に合わず出番は東方へ

 I号戦車F型は1939年12月に先行生産車30両分の生産契約が交わされ、1942(昭和17)年12月までかかって完成しました。II号戦車J型は1939年11月に試作車4両、先行生産車30両が発注され、1942年12月までに30両完成します。しかし目的とされたフランス戦には間に合わず、1942年にもなるとIII号戦車、IV号戦車の数もそろい、“本物の”ティーガーI(VI号戦車I型)の生産も1942年8月に始まっており、「ミニティーガーI」の出番はなくなり生産は打ち切られます。

 I号戦車F型とII号戦車J型はほとんど同じコンセプトで外見、生産時期、生産台数も同じようなものでした。担当メーカーはI号戦車F型がクラウス・マッファイ社、II号戦車J型がMAN社とダイムラー・ベンツ社と一応、分かれていましたが、後にII号戦車J型にクラウス・マッファイ社も加わるよう指示されています。効率の悪い多品種少量生産で同じようなコンセプトの車体をわざわざ2種類製作した理由は、よくわかりません。

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第12機甲師団に配属されたII号戦車F型。東部戦線で実戦行動中の貴重なカット。

 1943年に第12機甲師団へI号戦車F型は7両、II号戦車J型は22両配属され、東部戦線に投入されています。ソ連軍は塹壕を掘り、対戦車砲を並べる防御戦術に長けていたので、本車は敵の攻撃を引き付ける役割は果たせたかもしれませんが、戦果の程ははっきりしません。ソ連軍に捕獲された写真が残っているので、ソ連軍と銃火を交えたのは間違いないようです。

 後に登場するティーガーIも分厚い装甲と強力な戦車砲で敵の正面に立ちます。I号戦車F型とII号戦車J型のコンセプトがティーガーIの基本設計に影響を及ぼしたことは間違いなく、1939年当時に前面装甲80mmという「軽戦車」がいたということは驚くしかありません。

【了】

【写真】連合軍を恐怖に慄かせた本家ティーガーI戦車 ほか

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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