ハイテク戦車でも乗員の技量が問われるのはなぜ? 陸自戦車射撃競技会に見るその理由

戦車砲の照準もいまやコンピューター制御があたりまえの時代ですが、それでも陸上自衛隊では、競技会などを通して隊員の射撃技量向上に努めています。どのあたりに、人間の介入する余地があるのでしょうか。

大切なのはチームワーク

 さらに、射撃競技会では標的の出現するタイミングが完全にランダムで、レールの上を移動する標的まであります。距離が離れており、かつランダムに出現する標的を移動しながら正確に撃ち抜くというのは、いくら優秀な射撃管制装置などが搭載されているとはいえ、操る乗員に大変な技量が要求されるわけです。

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90式戦車の主砲は44口径120mm滑腔砲。砲弾は10式戦車でも使用できる(稲葉義泰撮影)。

 もちろん、90式戦車の性能は非常に優秀で、それはこれまでも十二分に証明されています。つまり、射撃競技会で重要なのは、この優秀な戦車を「いかにチームとして使いこなせるか」ということなのではないかと筆者は感じました。

 たとえば、ある小隊は小隊長の号令と共に射撃する瞬間、操縦手が窪地を前に車両を少々減速させ、一瞬、砲身が安定した瞬間に砲手が射撃、見事標的に命中させていました。戦車は個々に単独で動いているわけではなく、小隊長の指揮のもとにチームとして動いています。そして、車内でも車長、砲手、操縦手が連携して戦車を操ります。こうした小隊内、そして車内でのチームワークこそが、90式戦車の性能をフル活用するひとつのカギなのではないかと考えられます。

 いくら技術が進歩したとはいえ、それを操るのは人間です。人間がシステムを使いこなせなければ、その性能をいかんなく発揮することはできないでしょう。

【了】

【写真】50tを吊る「戦車のためのクルマ」 ほか「北部方面隊戦車射撃競技会」の様子

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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