独Me163「コメート」はなぜ「恐怖の彗星」と呼ばれた? 史上唯一のロケット推進戦闘機

第2次世界大戦期のドイツで誕生したロケットエンジン搭載の戦闘機、Me163「コメート」は、「恐怖の彗星」というふたつ名で呼ばれました。さぞ連合国側へ恐怖を与えたのかと思いきや、少々、話が違いました。

「恐怖の彗星」の本当の意味

「コメート」の一番の問題は、その危険性でした。

 たとえばロケットエンジンの燃料となる推進剤は、非常に爆発性と腐食性が高く、少しでも燃料漏れを起こすと、パイロットや整備員が「溶ける」という恐ろしい事態を引き起こしました。また、エンジンそのものの信頼性も低く、爆発や故障による墜落も続発しました。さらには、燃料を少しでも多く積むために離陸した後は主輪(車輪)を切り離し、ソリ式の足回りで滑るように着陸させる構造でしたが、これが非常に困難で、着陸に失敗して爆発炎上するものも多く出ました。

 もうおわかりでしょう。「恐怖の」という枕詞は敵によって付けられたものではなく、味方パイロットたちから出た言葉であったのです。

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足元の車輪は離陸後に切り離し、着陸時はそりで滑走した(画像:アメリカ空軍)。

 しかし「コメート」の問題は、それだけではありませんでした。たとえば航続距離が短すぎて、敵とドッグファイトをしたあと自分の基地まで帰ってこられないことや、スピードが速すぎて敵機を見つけてもそちら方向に曲がれないこと、方向転換が苦手でまっすぐしか飛べないので機動が読まれやすくすぐに撃ち落されること、そして着陸後は自力で動けないので対地攻撃の餌食になる、といった問題点が山積していたのです。

【写真】「コメート」そっくり、旧日本軍の試作戦闘機「秋水」

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