独Me163「コメート」はなぜ「恐怖の彗星」と呼ばれた? 史上唯一のロケット推進戦闘機

第2次世界大戦期のドイツで誕生したロケットエンジン搭載の戦闘機、Me163「コメート」は、「恐怖の彗星」というふたつ名で呼ばれました。さぞ連合国側へ恐怖を与えたのかと思いきや、少々、話が違いました。

問題山積もパイロットたちは…

 ここまで問題点が多いと、なぜこれを量産したのか、と当時のドイツ軍を問い詰めたいような気もしてきますが、意外なほど「コメート」は、ドイツ軍パイロットに愛されていたようです。当時の戦闘機パイロットといえば「命知らず」と称される血気盛んな若者が多く、「コメート」のスピード感もその危険性も「悪女の魅力」と表現して乗り続け、終戦までに約400機が戦場へと送り出されました。

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一説によると、航続性能は時間にして7分から8分程度だったという(画像:アメリカ空軍)。

 そして、その「悪女の魅力」にとりつかれた人々がほかにもいます。それが旧日本軍です。同盟国ドイツから「コメート」の資料を取り寄せた旧日本軍は、それをもとに陸海軍共同で局地戦闘機「秋水」を開発しました。もちろん最初の試作飛行時には燃料漏れからの失速、着陸に失敗しての大破という、オリジナルと同じ轍(てつ)をしっかり踏んでいます。結局、日本軍はこれを量産することができないまま、終戦を迎えることになりました。

 終戦後、ロケットエンジンを使用した戦闘機は、一部実験機として研究が続けられているものの、現在まで量産されたものはありません。ドイツ軍パイロットたちに愛された「コメート」は、2019年現在のところ、最初で最後の実用ロケットエンジン戦闘機ということができるでしょう。

【了】

【写真】「コメート」そっくり、旧日本軍の試作戦闘機「秋水」

Writer:

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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