西武鉄道の路線 なぜ込み入ってる? 125年前は「国分寺発本川越行き」だった

東京の西部で複雑な路線網を展開する西武線。元々は違う鉄道会社がそれぞれの線路を敷設し、ライバル関係にありました。実業家の堤 康次郎によって各社は吸収または合併され、現在の西武鉄道に至ります。

実業家、堤 康次郎の存在

 もうひとつ、西武の路線図を複雑にしているのが、国分寺線とねじれるように並行して走る多摩湖線と、多摩湖線、西武園線、狭山線が集中する多摩湖・狭山湖一帯の存在です。西武遊園地、西武園、西武球場前という駅名からは、西武グループによる観光開発が行われた後に開業したようにも見えますが、これらはいずれも、東京の水源確保のために昭和初期に建設された人造湖である多摩湖(村山貯水池)・狭山湖(山口貯水池)に直通する観光路線として開業した路線です。つまりここにも、旧西武鉄道と武蔵野鉄道、そして第三極の多摩湖鉄道によるライバル関係が存在していました。

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西武池袋線などで使われる6000系電車(画像:写真AC)。

 激しいライバル争いに明け暮れた武蔵野鉄道と(旧)西武鉄道は最終的に、箱根や軽井沢の不動産開発で成功を収めていた実業家で、後の西武グループの創業者である堤 康次郎の支配下に収まりました。堤は自ら設立した多摩湖鉄道と武蔵野鉄道を合併させて武蔵野鉄道の経営を掌握すると、次いで(旧)西武鉄道の社長にも就任し、両社の合併を取りまとめました。現在の西武鉄道は、武蔵野鉄道を存続会社として、(旧)西武鉄道を吸収する形で成立しています。

 それでも西武鉄道という社名を継承した理由について堤 康次郎は、旧西武鉄道の社員に劣等感を与えず、両社出身者の融和を図るためだったと語っています。もしかすると、西武の路線図がスパゲッティのようにこんがらがって見えるのは、かつてのライバルたちが真に一体となった証なのかもしれません。

【了】

【図】西武鉄道の系譜

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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