消えゆく「カモノハシ」700系新幹線 どんな車両だったのか? 「新世代新幹線」の礎
長いノーズ、航空機の尾翼と同じ役割
700系開発でJR東海は「座席の配置は300系と同じにすること」にこだわりました。東海道新幹線は高密度で運行されており、ひとたびダイヤが乱れると車両の運用も大幅に狂います。しかしそのような事態でもすべての車両が同じ設備であれば、車両のやりくりも容易になります。
しかし、700系は300系に比べてノーズが長くなり、その分客席に使える部分が減少します。そこで1号車と16号車は300系に比べ全長を1.3m伸ばし、車端部の機器配置を工夫して、ノーズの長さ分を克服しています。一方、高速走行に伴いトンネル出口などで発生する空気の圧力波対策は、この限られた長さで行わなければなりません。
そこで空力理論が一から見直され、これまでの新幹線では見かけない、カモノハシのくちばしのような形になりました。このノーズは、トンネル突入時の空気抵抗を和らげるのはもちろん、最後尾になったときは、航空機の尾翼のように左右のふくらみ部分で車体に張り付いた空気をきれいに引きはがし、空気を乱さず車体を揺らさない工夫がされています。700系のユニークな顔つきには、このような理由が隠されていたのです。
700系は1997(平成9)年に試作車両が完成。1999(平成11)年からは量産車が投入され、「のぞみ」を中心に運行が始まりました。
コメント