消えゆく「カモノハシ」700系新幹線 どんな車両だったのか? 「新世代新幹線」の礎

東海道新幹線からの引退が発表された700系。スピードや快適性向上を求め、300系がデビューした直後に開発が始まりました。特徴はカモノハシのようなノーズ。ドクターイエローにもなったそのユーモラスな顔つきには、理由がありました。

スピードや快適性を追求、300系デビューのすぐ後に始まった開発

 2020年3月8日(日)に行われる引退イベント「ありがとう東海道新幹線700系」をもって、700系電車は東海道新幹線での運用を終了します。700系とはどんな電車だったのでしょうか。

 700系新幹線電車の開発は、1992(平成4)年に300系新幹線電車が「のぞみ」としてデビューした直後に始まっています。

 300系は最高速度270㎞/hで東京~新大阪間を2時間半で結びましたが、一方で車体を限界まで軽量化したため騒音・振動が大きく、また性能面でも、平坦線での最高速度は297㎞/hでした。その点では、航空機などと競合するうえで、性能面での伸びしろがありませんでした。

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東海道新幹線を走る700系電車(2015年12月、恵 知仁撮影)。

 そこで次世代の新幹線として、300系よりも乗り心地や高速性能を向上させた新型車両「N300」プロジェクト、のちの700系の設計が始まりました。車両の開発テーマにはスピードアップのほか、「快適性」と「環境への適合」も盛り込まれました。

 700系は快適性を高めるため、車体はアルミ板2枚で構成する「ダブルスキン構造」とされ、静粛性が飛躍的に向上しました。また、静音化で車体が重くなった分は機器類の徹底的な軽量化で相殺し、300系よりもモーター付き車両が2両増えたにもかかわらず、編成全体の重量は708tと、300系より3tも軽くなりました。

【写真】先輩「300系」を追い抜く700系

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